いまSIMロックフリー(以下SIMフリー)市場が熱い。新しいSIMフリースマートフォン(同スマホ)が次々に発売されているだけでなく、従来の格安スマホから1線を画したミドルレンジ(中機能)が次々に投入されているからだ。そしていずれもコストパフォーマンスがいい。SIM容量も多彩になり、端末、ソフトともに選択肢が大幅に増え、各自のライフスタイルに応じて選べるようになったのも人気の一つだ。
昨年12月、キャリアの実質ゼロ円販売や高額なキャッシュバックを禁じる通達を総務省が出したことでSIMフリー市場に流れるユーザーも増えた。そこで今回はSIMフリー市場で人気の一端を担うイオンモバイルのサービスを紹介してみたい。
イオンは音声SIMも縛りなし
イオンモバイルは名前から分かるように流通大手イオングループの一員である。同グループがSIMフリー市場に参入したのは2014年と比較的新しいが、SIMフリー市場で同社が果たした役割は大きく、イオンスマホ以前、イオンスマホ以後と言ってもいいほどだ。
衝撃的だったのはSIMと端末のセット販売。それも1つ前の機種とは言え人気だったNexsus4とSIMをセットで月額2980円で販売した。この分かりやすいシステムに飛びついたのがスマホ初心者やシニア層だったが、それは同社の狙い通りでもあり、限定数の8000台はわずか1か月で完売してしまった。
その後、イオンは格安スマホから「こだわりスマホ」へとステップアップする戦略を取り、機能をアップしたスマホを販売しだしたが、現在の取り扱いスマホはミドルレンジ(中機能)の最新機種が中心になっている。
同社の魅力はスマホ本体よりSIMにある。MVNO(Mobile Virtual Network Operatorの略、仮想移動体サービス事業者)のSIMとキャリアのSIMが決定的に違うのは契約期間の縛りがあるかないかだ。キャリアの場合は大体2年契約で、途中で解約すると違約金を取られる。いわゆる2年縛りである。
一方、MVNOは契約期間の縛りがないから、いつ解約しても違約金を取られる心配がない。ただし、それはデータ専用SIMの場合で、音声SIMは1年以内の解約なら解約料を課しているところが多いが。
しかし、イオンモバイルは音声SIMでも契約期間の縛りなし、解約料なしである。これは画期的。よくぞ解約料なしに踏み切ったものだと感心する。
キャリアにしろMVNOにしろ、音声SIMに解約料を課すのは顧客の囲い込み。短期で他社に移動されると儲からないからだ。できるだけ長く使い続けて欲しい、そのために様々なサービスを導入し安くしているというのが偽らざる本音だろう。
一切の拘束を取っ払って大丈夫か。気に入った端末欲しさにイオンモバイルで契約し、数日使ってすぐ解約されると困りはしないか、と他人事ながら心配すると同時にイオンモバイルの太っ腹に感心せざるを得ない。
ゼロにすれば、ちょっと試してみて、よくなければ他社にすぐ替わるだろうから同社は儲からないだろうと心配してしまうが、人は一度契約するとよほどのことがない限り短期でよそへ移らないものだ。また同社にしてもSIMの品質やサービスに自信があるからこそ解約料なしに踏み切ったのだろう。
ただMNP(ナンバーポータビリティ)転出をする場合は転出手数料がかかるので注意が必要だ。手数料額は契約期間によって変わり、契約後180日以内は8000円(税別)、181日目からは3000円(同)になっている。
月1500円で、いつでも、誰にでもかけ放題
電話をよくかける人にお勧めなのが月1500円で24時間、誰にでも電話かけ放題になるオプション。最近はかけ放題を謳っているMVNOもあるが、ほとんどが5分かけ放題(ほかにも1分、10分がある)だ。5分以内なら何度かけても無料だが、5分を過ぎると30秒20円の通話料がかかる。5分になる前に何らかの合図(公衆電話のようにピーと鳴る音のような)をしてくれればいいが、それはない。5分超過に気付かず話していると、せっかくの無料電話が逆に高くつくことにもなる。
その点イオンモバイルのかけ放題は相手がドコモだろうとau、ソフトバンクケータイ・スマホであろうと関係なく、何時間でも話し放題(5時間話し続けると自動的に切れる)。同じようなプランのケータイのかけ放題料金2200円と比べてもイオンモバイルの1500円は圧倒的に安い。
しかもイオンモバイルのかけ放題はデータSIMで使えるから、最低1980円で1Gのデータ通信とかけ放題電話が使えることになる。
なぜ、こんなに安い料金で電話かけ放題ができるのかといえば、050で始まるインターネット電話だからだ。インターネット電話とはいえ固定電話番号はもらえるし電話をかけた相手へ050で始まる番号も通知される。
インターネット電話の場合、通話品質が回線状態に左右されるため、できるだけ電波状態のいいところやWi-Fiを利用するようにした方がいい。
このサービスのメリットは電話がかけ放題になることだけではなく、090や080で始まる番号と050で始まる番号の2つを持てる点にもある。番号が2つあれば仕事用とプライベート用で使い分けることができるし、受信は090で、発信は050を使い、通話料を安く抑えるといった使い方もできる。
実店舗が多く、店頭で買えるのが魅力
SIMフリーが今後シェアを拡大するのは間違いないが、普及のネックの一つになっているのが実店舗の少なさ。一部のMVNOに実店舗での販売拡大の動きは見えるものの、まだほとんどがネット販売だけなので、実機を事前に手に取ってみることができない。当然、SIMの設定などは自分で行わなければならないし、音声SIMの場合、開通までに数日から1週間近くを要する。これがネックになりSIMフリーへの以降をためらっている人もいる。
その辺りはMVNOも分かっており、ネット販売でも即日開通できるような方法を導入しているところが増えだしたが、それでもやはり実店舗にはかなわない。実店舗販売なら小1時間待っていれば使えるように設定して渡してくれるし、スマホの操作や分からないところもその場で教えてもらえる。いちいちネットで問い合わせをしなくてもいいのは大きなメリットだ。
その点イオンモバイルは全国213店舗で販売・サポートをしているため安心して購入できる。メカに弱い人やスマホ初心者には特にメリットが大きいだろう。
最後にイオモバイルでスマホを安く買う方法を。
イオンは毎月数回、イオンカードの支払いで5%割り引きを実施しているのだ。すでにイオンカードを持っている人は5%割り引きの日にスマホ売り場に行き、イオンスマホをカードで買えば5%割り引きで買えるから随分お得だ。イオンでよく買い物をする人は何かと割り引きもあるし持っていて損はないカードだろう。
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