栗野的視点(No.727) 2021年3月9日
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問題の根底には「スガッシズム」による官僚支配が
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山田真貴子内閣広報官がついに辞職に追い込まれた。最後はお決まりの「体調不良による入院」で、予算委員会に参考人招致されていたが出席取り止めだ。
これって政治家の常套手段だが、それと同じ手を官僚が使うのだから、彼らも偉くなったものだ。
げに恐ろしきは女なり、などと言おうものなら「女性蔑視だ」「女性差別だ」と総攻撃されるかもしれない。なんといっても最近のメディアは「言葉狩り」が大好きだから。
それなら「ソーシャルディスタンス」という言葉は使わず「ソーシャルディスタンシング」とか「フィジカルディスタンス」と言うべきだし、新型コロナウイルス対策で「『ソーシャルディスタンス』という言葉を使うのは間違っている」と声を大にして言うべきではないかとずっと感じているが、その辺の差別意識には疎いようだ。
要は重箱の隅を突くような言葉の指摘はうるさくするが、言葉が持つ本来的な意味、使い方には無頓着ということだろう。だからネット民から「マスゴミ」などという謂れなき非難をされるのだ。
政治家並みになった官僚
それにしても最近の官僚は政治家並みになり、「記憶にありません」とか「そうした事実はありません」という返答を頻繁にするようになった。まるで認知症でも患っているのかと心配になるが、国会でこの言葉を連発した官僚はその後出世しているから認知症ではないのだろう。
官僚は「人間データベース」と言ってもいいぐらいで、彼らは仕事に関係するあらゆることを頭に入れている。記憶力は抜群なのだ。政治家から何かを尋ねられて「後で調べておきます」なんてことは、よほどのことがない限りあり得ない。記憶力が悪い私などとは大違いで、羨ましい存在である。
そうした官僚の中にあっても出世頭の人間が1食5万円とか7万円、中には10万円という食事もあったようだが、そんな会食を覚えていないはずがない。
それを「記憶にありません」と言ったのだから引っ込みがつかない。いや、もう出て来られなくなった。政治家の常套手段に倣って病院に逃げ込んだ。コロナ禍の今でも匿ってくれる、いや間違えた、入院させてくれる病院があるのはさすが、と妙なところに感心してしまった。
たしかに国会とメディア、世論で連日のように追求され、騒がれれば本当に体調を崩したのだろう、それが入院を要するほどのものだったかどうかは別にして。そのあたりに関しては同情する。
しかし、いきなり辞職したのには驚いた。まあ、広報官の仕事は務まらないだろうから辞任せざるを得ないだろうとは考えていたが、まさかの辞職とは。
あまりの引き際のよさに少し見直していたが、いや、なかなか「敵もさる者引っ掻くもの」で、東北新社の接待だけではなくNTTもあったわけだ。次々に出てきて火だるまになる前に先手を打って辞職したのだろう。
だが、こうした認識もさらに改めなければならないようだ。日を追うごとに出てくるわ出てくるわ。これこそが辞職せざるを得なかった理由だったのかも。
巧妙な手口で外資規制違反逃れ
放送法では地上波放送やBS(衛星)放送を行う事業者に外国の個人、法人などが株式の20%以上を持つ事業者に対する外資規制というのがある。こうした外資規制は諸各国でも導入されており、公共性が高い電波利用を外国人や外国勢力に牛耳られるのを防ぐ目的だ。
インターネットが普及している現在では時代にそぐわないという見方もあるかもしれないが、ミャンマーの軍事クーデターではいち早く放送局が占拠されたし、独裁体制を敷く国がカネに物を言わせて他国のTV局を傘下に収めれば、その国に都合のいい情報ばかりが流されることになる。
こうしたことを防ぐために20%未満の株式保有に留め、議決権を行使できないようにしているわけだが、東北新社はこれに違反していたのだ。
それなのになぜ、総務省は同社を放送事業者として認定したのか。そこには同社の巧妙な動きと総務省の事業認定審査担当者の癒着とまでは言わないが、「阿吽の呼吸」に似たものが見える。
まず、東北新社の外資比率の変化を以下、時系列に並べてみよう。
・2016年3月末の外資比率は20.28%
・同年9月、BS4K放送の認定申請受け付けが開始されたが、同月末時点の外資比率は19・96%とわずかに20%未満を維持。
・17年1月、総務省が認定。その直後の3月末には外資比率21.23%にアップ
・9月、同社から100%子会社の東北新社メディアサービスにBS4K事業の承継を総務省に申請。月末時点で東北新社の外資比率は22.21%
・10月、総務省に申請が認められ、子会社へ認定を承継
・18年12月、子会社がBS4K放送を開始
上記から東北新社は総務省への申請直前に外資比率を20%未満に下げ、認定2か月後に再び20%以上に戻しているのが分かる。
しかも東北新社は実際には一度もBS4K放送をすることなく、8か月後に事業を子会社に移し、総務省に認められているが、その時、同社の外資比率は22.21%と外資規制違反状態になっている。
同社の動きがこのように巧妙ということもあるが、総務省はなぜ大した調査もせず東北新社を放送事業者と認定したのか。
その後、同社の外資比率が20%を超え、外資規制違反になったが、なぜ認定取り消しをしなかったのか。
同社の外資規制違反を本当に知らなかったのか。
(2)に続く
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