Uターン台風に35℃超の猛暑日の連続。突然、バケツをひっくり返したように短時間に激しく降るゲリラ豪雨。あっという間に水が溢れ、押し寄せてくる洪水被害に、頻発する地震や竜巻・・・。
地球はどうかなってしまったのではないかと思ってしまうが、異常なのは自然界だけではない。当たり前のように行われるセクハラ犯罪に億単位の着服・横領をする輩がいるかと思えば、ストーカー殺人、通り魔的無差別殺人や身勝手な自殺願望殺人を平然と行う者、さらには奇妙な正義論をかざして大量殺人を平然と行った犯罪者など、自然界より人間界の方がよほど異常かつ狂っているのかもしれない。また親殺し、子殺しを含む家族殺人が増えているのも近年の特徴だ。
なぜ、人の生命は鴻毛よりも軽い存在になってしまったのか。その背景に「内向き社会」「内外の境界の消滅」「内界の外在化」があるとは「栗野的視点(NO.549):社会の内向き化がもたらす危険性」で書いたが、今回はもう少し異なった視点から環境や生態系(人類)に影響を与えているものを見ていこう。
温暖化で紛争、暴力、犯罪
地球温暖化が様々な分野、例えば人類の存在等にも影響を与えているというのは近年ではすでによく知られていることであり、温暖化が紛争、暴力、犯罪の原因にもなっている。
なぜ温暖化が紛争や暴力、犯罪を生むのか。それは次のような理由からである。温暖化により砂漠化が進めば、その土地で生息できる動植物(人類を含む)は減る。生物は残った食物を奪い合うか、よその土地に移動するかしかない。しかし、よその土地に移動すれば、その土地を縄張りにしている動物や先住民との間で縄張り争いや食物の奪い合いが始まる。いずれにしても紛争は増えるというわけだ。
これは過去のことでも未来のことでもない。いま、現実にヨーロッパで起きていることでもある。イギリスは移民受け入れを拒否したし、ヨーロッパのほかの国々も難民の流入を防ごうとしている。またアメリカではトランプ大統領候補がメキシコとの国境沿いに巨大な壁を作ると宣言している。
かつて栄えた、その時代の最も進んだ社会、例えばマヤ文明やクメール王朝が衰退し、歴史から忽然と姿を消したのは気候変動による長期間の干ばつや豪雨が影響し、そこに政情不安と紛争が加わったからだと唱える説が最近注目されている。
干ばつや豪雨は食物の育成・収穫に直接関係するだけでなく、過去の歴史の分析から、気温や降水量のわずかな変化が紛争(国家間に限らず、殺人やレイプといった個人間の攻撃も含む)のリスクを増大させていることが最近の研究で明らかにされつつある。
技術が進んだ現代では気候変動が即座に我々人類の生存に影響することはないとはいえ、それは様々な技術的対策の結果、影響が緩やかになっているだけで、根本的に解決したわけではない。例えば日本列島はすでに亜熱帯気候の様相を呈し、南方植物の北への分布が広がりつつある。東北地方では従来の稲種の発育不全が見られるようになりつつあり、気候上昇に耐えられる新種の開発を急いでいる。
このように作物の分布図が全体的に北に移動しつつあるだけでなく、この5、6年、海の生物に異変が起きていることも指摘されている。
それは深海魚の浅瀬での捕獲をはじめ、サンマ、イワシなど日本近海で捕れる魚の時期や収穫量が変わってきたことにも現れている。これは温暖化の影響というより中国、台湾船の乱獲のせいだと反論する向きもあるだろう。たしかに、それもあるだろう。ただ、サンマやイワシの漁獲量減少はそれで説明できるかもしれないが、そのほかの異変については説明できない。
この数年、ダイオウイカなどの深海魚が相次ぎ捕獲されているが、それはどう説明するのか。クジラやイルカ、渡り鳥の大量死はどう説明すればいい。これらは温暖化と直接関係なさそうにもみえる。では、何が影響しているのか。
太陽の磁場に異変
地球は太陽の影響を受けている、というのはいまさら言うまでもないだろう。太陽の黒点が増えたり減ったりするだけで地球の気温は上昇したり下降したりする。その結果、洪水や渇水、豪雪に見舞われ、冷夏になったり暖冬だったりする。
遠く離れた太陽の活動が地球に多大な影響を及ぼしているわけだが、その太陽で異変が起きているのだ。
(2)に続く
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