余震回数1000回超、範囲拡大
九州は地震が少ない−−と思い込んでいた人は案外多いのではないか。かく言う私もその一人だったが、それは単なる思い込みでなんの根拠もなかったどころか、地震は結構頻発していた。特にこの1年に限って言えば博多湾を震源とする地震がかなりの頻度で発生。中部九州より福岡沖地震発生の方を恐れていたほどだ。
それでも地震が少ないと思い込んでいたのは、過去、九州は大地震に襲われることが比較的少なかったからである。
記憶に新しいのは2005年3月に震度6弱を記録した福岡西方沖地震だが、それからすでに11年。喉元過ぎれば熱さを忘れると言われるように、災害に対する意識も薄れていたように思える。
実際、スーパーやホームセンターでも地震対策関連品は店内の奥の方の目立たない(探しても分かりにくい)場所に申し訳程度にしか置かれていない。熊本地震の余震回数と頻度は過去例を見ないほど多いし、範囲も広がっているというのに。
因みに4月14日午後9時の地震発生から5月2日午後9時時点までに観測された地震回数は1160回(気象庁)。過去最多である。余震の回数は一時減少しつつあったが、4月27日に再び増えただけにとどまらず、九州を横断するように有明海から大分、さらには四国へと範囲が拡大しているのが不気味だ。
まあ、そういう状況を嘆いても仕方ないので、自分でできる対策はしなければと、家具や本棚には家具転倒防止装置を取り付け、ガラスが散乱しそうな食器棚はさらに扉にロック装置を、自作の物も含めて取り付けた。見た目がどうのというより生命を守ることが優先と考え。
さらにガスは使用した後、必ず元栓を閉めるようにした。食器棚の扉を開け閉めする度にロックをかけたり、ガスの元栓を一々閉めたりするのは煩わしいことではあるが、習慣にしてしまえば案外慣れるもので、最近は車に乗ると絞めるシートベルトと同じ感覚で行っている。
問われる現地取材姿勢
さて、震災が起きる度に指摘されるものの一つにメディアの報道姿勢がある。これには功罪両面があり、報道のお陰で支援物資が届いた所もある一方で悲惨なシーンが繰り返し流されるとの批判もある。これは先の東北大震災の映像シーンで指摘された問題である。
ともすればTVは衝撃的な映像を使いたがる。そこに報道以上の何か、ニュース性とは別の商業主義的とかウケ狙いを感じてしまい、繰り返し流される同じ映像に首を傾げ、もう少し被災者に寄り添う報道姿勢があってもいいのではないかと憤った人が少なからずいたのは事実だろう。
今回の熊本地震ではそのような映像はなかった(少なかった)ように感じたが、メディアが報道姿勢を反省したからなのか、それともただ単に「絵になるシーン」がなかったからなのか。
もう一つの問題は現地入りした報道クルーのお気軽さや、傍若無人とも受け取られかねない態度である。
いまや「Facebook」や「Twitter」等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「〇〇ナウ」と載せたり、弁当の写真をアップしたぐらいで驚きもしなければ、不謹慎と怒りもしないが、給油の順番待ち列に我が物顔で割り込んだどこかの局の態度にはさすがに怒りを禁じ得ない。何を勘違いしているんだと言いたい。
大災害の度に問題にされる、メディアの取材姿勢だが、それは取材倫理の問題だけなのだろうか。もちろん、それもあるだろう。もし倫理感の欠如の問題なら、この種の問題が起きる度に繰り返される「教育の徹底を」という反省の弁で直るだろう。
だが、視聴率を意識した、他社との取材合戦が背景にあるなら、それも現場の意識だけでなく、番組づくりの無言の圧力的な意識があるなら、教育や倫理の問題ではなく取材体制の問題といえる。
スクープ映像や視聴率を意識するなと言っても、それは無理だろう。報道に従事する人間はそうした誘惑と無縁ではありえない。さらに言うなら、そうした意識が皆無の人間が現地報道をすることはできない。それは戦地でも同じで、彼ら自身ある部分では生命をかけて報道をしているわけだ。
だから危険な場所に行くなとか、我先に各社が競うなとは言えない。しかし、被災地取材で問題が相次ぐようだと一定の規制が必要という声が大きくなる。すでに一部で現地入りする取材局はNHKと民放代表の2局の制限しろという声が出ているし、政府は熊本地震を機に「緊急事態条項」を憲法に新設しようとする動きを見せている。
早い話、災害に名を借りて政府に権限を集中させようとしているわけだ。この先にあるものは改めて指摘するまでもないだろうが、当面は「緊急事態」に名を借りて取材規制が行われることもある。もし、そういうことになれば災害報道でさえ政府にとって都合のいい報道しか流されないことになる。
そういうことにならないようにメディア各社は災害報道における対応のあり方を考えて欲しい。
(2)に続く
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