栗野的視点(No.692) 2020年6月23日
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終活なんてどこ吹く風で、安物ばかりがゴロゴロ
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ただ、気が付いたら同じようなものがゴロゴロしていたということはある。ゴロゴロというぐらいだからほとんどが安物で、安物買いの銭失いの類だ。
例えばカメラにしてもフィルム用の一眼レフが押し入れに複数台、デジタル一眼レフも複数台使っているが、フィルム用カメラなど買い取り価格はジャンク品扱いで、よくて数千円。まあ、もともとそんなに高い金額で買ったものではないから、そんなものだろうと諦めているが、友人は引っ越しの際に思い切って「ハッセルブラッドを買い取りに出したら7000円と言われ悲しくなった」と嘆いていた。往年の名カメラだけにその気持ちはよく分かる。
そんな私だが処分に困っているカメラがある。「AsahiFlex」である。このカメラは日本で最初の35mm一眼レフだ。一眼レフといってもペンタプリズムを通して入ってくる光をファインダーで見る今のようなタイプではなく、二眼レフのように上から覗くタイプだ。そのため左右が反対に見える。
このカメラは親父から貰ったもので、一度バブル期にカメラ屋で見てもらったところ当時の売り値相場が25万円と言われた。それが今は1桁下がって2万円台。二眼レフが5万円台で売られていることを考えると安すぎると思うが、仕方ない。
いいレンズが付いているから写りはいいし、数年前にも引っ張り出しフィルム撮影に再度挑戦してみたが、重いし、オールマニュアル撮影だし、1枚写すのに時間もかかるしで、結局使うのを諦め、再度押し入れに仕舞い込んだ。
20万円台の時なら手放しても亡き父に言い訳がたつが2万円、どうかすれば1万円程度の売り値では親父に申し訳ない。かといって持っていても、思い入れがない人間にとってはガラクタ同然で「こんなもの残されても」と文句を言われるのがオチだろう。それでなくても「今の内から処分して」と終活を急かされているのだから。
ガラクタと言えば時計もそうだ。貧乏人のくせに、なぜか腕時計だけはゴロゴロしている。ただし高価なものはない。「なぜ時計も着替えないの」というCMに踊らされたわけではないが、時計もファッションの一部という考えで、その時々に応じて付け替えていた。だからというか、持っているのは高価なものはなくファッション性重視の安物ばかり。とくにスウォッチは何本もあり、今では処分に困っているというのが実情。
ただ、中には思い入れのある時計もある。昔からコンパス機能付きの時計が欲しくて、ずっと探していたが、ある時、通販雑誌で見つけて即注文した。スイスアーミーの表示がある時計で、多少の分厚さはあるが見た感じは普通のクオーツ時計。ところが上下2層になっていて、上のクオーツ時計をスライドさせると下からアナログ式コンパスが現れるという代物。
旅先などでは随分重宝し、方向音痴の私でも地図とこの時計のお陰で結構ウロウロすることができた。
ただ難点はクオーツで電池交換が必要なこと。おまけに裏蓋が頑丈にできていて、修理を謳う店か時計職人がいる店でなければ電池交換ができなくて困った。一度などデパートの時計売り場に持ち込んだが、取り扱い外メーカーだから保証できないと断られたこともある。
そんなことが度重なると電池交換が必要なクオーツ時計は段々使わなくなり、次は自動巻きに替えた。
妙な性分で1つ買うと、その直後からもう1つ買いたくなるのだ。そんなわけで自動巻き時計が2つになる。2つあると今度はネジを巻くのが大変になる。そうなるとクオーツ時計より厄介だ。
それならと自動ワインダーという装置を買った。常にグルグルと回転して自動巻き時計を動かしてくれるヤツだ。
まあ、そんなこんなをしているうちに面倒になる。電池交換もネジ巻きも必要なく、放っておいても動く時計が欲しい。そう思い出しカシオのソーラーウォッチを買った。
実は同社のソーラーウォッチは3個持っているが、中でも一番のお気に入りは最後に買ったプロトレック。名前が示すように山登り用の時計だが、高度計も気圧計も私には必要ない。コンパス機能が欲しくてプロトレックを買ったのだ。
こうなると、もうスイスアーミーのコンパスウォッチは出番がない。代わりにカシオのプロトレックが私の右手首を占めるようになった。
これで時計遍歴は終わるはずだったし、終わっていた。スマートウォッチに目が行くまでは。
当初、スマートウォッチに興味はなかった。iPhoneを使わないから、特にアップルウォッチには。
ところが歩数計機能があると知ってから興味を持ち始めた。これなら毎朝のウォーキング時に歩数計を別に持って出なくてもいい、と考えたからだ。
それで手始めに買ったのが5000円台のスマートウォッチ。これがよかった。低価格とはいえ電話の着信通知、gmail、Outlook、Skype、Lineの受信通知、ランニングモード、歩数計などが付いているため手放せなくなった。そして気が付いたらスマートウォッチが3つもあった。
ああ、終活には程遠い人生。いつになったらモノが減るのやら。
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