「栗野的視点」の読者の皆様有り難うございます。
TPPの問題は推進する政府側も反対する側もともに問題を限定し、政府は一部情報操作を行っているし、反対側は農業問題に矮小化しています。
我々日本人の悪い癖ですが、物事を見る時に表面的、部分的になりがちです。
私は大学で哲学を専攻し、その中でも弁証法を研究しましたが、これがとても役立っていると思います。
さて、TPP問題を考えるいくつかの視点は「TPPを考える場合に重要な視点」で述べましたが、もう少し話を聞きたいという意見もあったので、今度は少し別の角度から考えてみたいと思い、11月19日に「TPP参加が中小・零細企業に与える影響と対応について」と題してリエゾン九州の例会で話すことにしましたので、興味がおありの方、お近くの方はご参加下さい。
TPPの問題に関しては読者からコメント、投稿も届いていますので、読者のコメントをお届けします。今回はジュンコンサルタントの山永順一氏から届いたコメントです。
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栗野様のTPPの解説は大変分かりやすく、勉強になりました。
ただ、「アメリカの狙いはどの国か」というところで、狙いは日本だということですが、私はアメリカの狙いは中国で、そのためにどうしても日本を巻き込む必要があると思っています。
ソ連が崩壊し、冷戦は溶けましたが、しかし今でもアメリカの最大の敵はロシアであり中国です。日本もアメリカと同じです。
山永さん、お久し振りです。
「アメリカの狙いはどの国か」という項目で私が「日本」だと言ったのは「市場」のことです。政治面ではなく経済面であり、そこは明確に区別しておく必要があると思います。
日本にとってアメリカは同盟国です。アメリカの核の傘がなければ、日本は守れません。現在の日本はアメリカの51番目の州のようになっています。
これ以上TPPを結んでまでして日本を支配する必要はありません。
ネットで調べてみると、日本の農産物の輸入は今でもアメリカが一番です。しかし、アメリカのGDPに占める農業の比率はたったの0.9%です。人口比でみてもたったの0.45%です。これ以上日本に農産物を輸出しても景気が好転するとは考えていないでしょう。
アメリカは2次、3次産業の国です。これらの生産物の輸出先は、断然多いのがカナダで、メキシコ、中国、日本と続いています。逆に、輸入先は、断然多いのが中国とカナダで、メキシコ、日本と続いています。
これからも分かるように、アメリカは中国との貿易の不均衡に大変不満を持っています。
それで、日本と一緒になって、TPPの参加国を増やし、中国を取り囲んで、中国がTPPに参加せざるを得ないように戦略を立てていると思います。
アメリカはこれからの交易先として中国を最重要視していて、中国が自由貿易に参加しない限りはアメリカの発展はあり得ないと考えているのではないでしょうか。
アメリカはもう日本を経済大国とは見ていなしでしょう。
アメリカの狙いは小国日本なんかではなく、日本のその先に、大国中国を狙っていると思います。
日本が大国になればアメリカは日本を狙うでしょうが、日本が大国になるには、きちんとした軍隊を持ち核武装してアメリカから独立するしかないでしょう。
これは、経済音痴の私が、長年の経験と勘だけで勝手に推測したものです。
経済専門家の栗野様に失礼と思いつつ、私見を述べさせていただきますので、聞き流してください。
アメリカのTPP戦略はP4段階とは明確に違っています。「TPPを考える場合に重要な視点」では詳述は避けていますが(詳述しようとすれば本が1冊書けてしまいます(^^))、アメリカが狙う輸出品目を輸入できるのは経済、文化面でかなり発展した国です。
そういう意味で中国はまだ輸入国にはなりえません。市場としての中国は無視できない存在であり、EUを含め先進各国が狙っているのは当然ですが、自由貿易市場として中国が国内市場を開放するのはもう少し時間がかかるでしょう。この辺りは混同を避け、今後もきちんと見極めていきたいところです。
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