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人材の見分け方(1)


 昨年あたりから就職戦線は売り手市場に変わってきた。
景気回復で、各企業が一斉に人材採用増を行っているからだ。
需要はバブル期以上らしい。
しかし、求職者誰もがこの恩恵を受けているわけではなさそうだ。
複数社から内定をもらう求職者がいる一方で、何社受けても内定をもらえない求職者もいるのだ。

 ひと言で言えば、人材格差が起きているのである。
いま企業は人材採用に踏み切っているが、それはかつてのバブル期のような人の採用ではない。
採用しているのは人ではなく、人材。
つまり単なる働き手としての人が不足しているわけではなく、企業の明日を担う「人財」が不足しているのであり、「人財」たり得ない人はいらないということだ。

 とはいえ、いつの時代も人材を見分けるのは難しい。
戦国武将の武田信玄も「人を見損なう邪道七つの事」と7箇条に渡って記しているほどである。
 その内のいくつかを挙げておこう。

1.油断の人を、よく静かなる人に見損なうなり。
 (うっかりしている人を、落ち着いている人と見損なう)

2.ひょんな者を、よく速き人に見損なうなり。
 (軽率な者を、すばしこい人と見損なう)

3.手遅なる人を、よく重き人に見損なうなり。
 (愚図な人を、沈着な人と見損なう)

 このほかにまだ4箇条あるが、それは後日にでも。

 人材のほかに人罪、人在、人済もあるとは、以前書いたが、どこの組織にも結構いるのが「二言目には愚痴を言うタイプ」。
このタイプは一般的に女性に多く見受けられる。
なにか頼んでも実行する前に必ず一言二言愚痴を言う。
愚痴を言うから嫌なのかと思うと、そうでもない。
言わなければ気が済まないのだろう。

 このタイプは「人在」で、組織にとってそれ程害ということはないが、在社歴も長くなり、時に「してあげている」というような態度が見えることがある。
そうなると「人在」ではなく「人罪」に変化しているということだから、早めに「人済」にした方がいいだろう。

 見分けにくいのは、そこそこ知識があり、多少弁が立つタイプである。

このタイプに共通しているのはやたらカタカナ語を喋る。

実績を誇張して喋る。

自分で頷く癖がある。

ミスをした時、結果が出ない時は、言い訳が先に立つ。

 業界のことであれ、専門分野のことであれ、インターネットなどを駆使して情報をよく集めているから、こちらがそれ以上の知識を持ち合わせていないと、つい騙されてしまう。

 初対面の相手などはコロッと騙されてしまう。
私も一度このタイプに騙されそうになったというと語弊があるが、このタイプの人間をデキル人間と勘違いしそうになったことがある。

 このタイプの見分け方は喋ることではなく、何かをさせて、その結果を見、報告を聞くことだ。
行動すれば必ず結果が出る。
口だけなのか、実力が伴うものなのかは一目瞭然だ。

 要は、何を言ったかでなく、何をしたか、だ。

 ただ、このタイプは出来なかった言い訳をするのがうまいから、ついそれに騙されてしまう。
結果を素直に報告するのではなく、まず言い訳を先にするようならダメだ。
人材ではなく「人罪」。

 いつの時代も組織は人。
数合わせではなく、人材をきちんと見分け、少数でも精鋭組織にしたいものだ。


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