栗野的視点(No.672) 2020年1月22日
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2025年、2030年の社会は?〜世界は独裁化していく ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
帝国をやめた米国と帝国化に進む中国
激動の1年という言葉があるが、昨年はまさにそんな年だった。第2次大戦後生まれの政治家が各国のトップに就いてくると、戦争に対する実感がなく、戦争を映像で見ながら操作するゲームと同じような感覚なのか、まるで花火でも打ち上げるようにミサイルを次々と発射する北の若者がいる。
それでも「彼は友達」と言い、自分も負けじとドローンを飛ばし「敵」司令官を暗殺する米大統領がいるかと思えば、ポーカーフェイスで、おとなしそうな顔をしながら、北の若者と同じようにちょっとでも見解が違う人間はスパイ容疑で逮捕・長期拘留をする中国の指導者がいる。
そうなると身体を鍛えることが大好きなKGB出身の彼も柔道着など着ている時ではないとばかりに軍服に着替え、いつでもミサイルを飛ばせる準備にかかっている。
なんともはや危険な時代になったものだと思うのはこちらだけで、「指導者」たる政治家や、「賢明な」大人達は「今そこにある危機」から目を逸らし、「カネのことと経済発展がいつまで続くかというおとぎ話」のことにしか関心がないようだ。
この星が消滅の危機に直面しているというのに、ミヒャエル・エンデの「モモ」も、ジョージ・オーウェルの「1984年」も読んだことがない彼らは、相変わらず時間と資源を食い尽くしながら、地球の果てまで経済発展を求めて進もうとしている。
大国の中で一人遅れてやって来た中国の指導者は今までの遅れを取り戻すべく全速力に全速力で走れと自国民を焚き付け、不動産バブル崩壊もインフレ危機も何のその、国土は広いと、沿岸部から内陸部へ、内陸部から山間部へと開発に駆り立てている。
中国には「愚公(ぐこう)山を移す」という諺があるが、習近平にはそんな呑気で長期的な思考はないらしい。「時は金なり」とばかりに時間で駆り立て、笛を吹き、踊らされた人々は新幹線を世界最速で走らせたかと思えば、自動車、スマートフォンで世界を席巻し、「一帯一路」の呪文でアジアばかりかアフリカにまで進出する始末。
かつての帝国アメリカはトランプ大統領になって帝国の拡大をやめ、「自国第一」に徹している。代わりに帝国化を進めているのが中国で、いまやかの国の拡大欲は留まるところをしらないようだ。
いまでもこれだから2030年にはどうなっていることかと思うが、恐らく1980年代のアメリカと同じ状態、自国製造業が衰退し、輸入超過で貿易赤字に陥り国力低下という状態になっていることだろう。
そうなると国内情勢が不安定になり、国内の「反革命」分子の鎮圧に躍起にならざるを得ない。それが見えているから今の内から「テレスクリーン」を全土に張り巡らせ、少しでも不穏な動きをする人間は自国民、他国民を問わず「中華人民共和国反間諜法(日本などでは反スパイ法と呼称されている)」を適用して逮捕、長期拘束を行っている。
香港人が中国大陸に行ったまま行方不明になったり、香港から突然姿を消し、数か月後に中国大陸にいることが分かった例は後を絶たないし、数年前から日本国内の大学人が中国で開催される学術研究会に出席したところ突然、反スパイ法違反容疑で逮捕されたという例も結構ある。
(2)に続く
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