製造小売業も半減する
過剰生産は自動車だけではない。製造業全般が抱えている問題である。先進諸国ではモノが溢れており、我々はモノに囲まれて過ごしている。早い話が洋服の類だ。タンスの中には洋服が溢れているだろう。まだ充分着られるにもかかわらず、ちょっとファッションが今風ではないとかなんとか理由付けされて袖も通されなくなった洋服が結構眠っているはず。
これが今年の流行、今年のフリースはさらに暖かいとかなんとか謳って大量に作り、販売しようとするユニクロなどのファストファッションメーカー(その多くが製造小売業の形態をとっている)。そして大量に売れ残る商品。
売れ残った高級ブランド品はセール販売はせず、ブランド価値を維持するために焼却処分にされている。一部ではリサイクル販売に回されているものもあるが、その場合はメーカー名やブランド名が分からないように再販業者がタグを切り取り、出所を一切明かさず販売する取り決めになっている。
これを「リサイクルだからエコ」と言うわけにはいかない。もちろん焼却するより再販した方がエコロジーではあるが、作り過ぎが招いた結果であり、生産調整をし、数量を減らすようにすることが重要で、それを問題にすべきだろう。
といって、ファッションメーカーがそういうことを自発的に行うことは期待できない。彼らは最後のババを引くまで作り続けるだろう。
ストップをかけるのは消費者の行動しかないが、それも未来に危機を感じている若い世代にしか期待できそうにない。
だが、兆しは出ている。一時隆盛を誇ったファストファッションの店舗もこの数年、閉店するところが目に付き出したからだ。それでもまだ衣料は発展途上国では充分行き渡っているとは言えず、まだ行き先はある。
しかし、それも10年後には行き先を失い、自動車産業と同じ道をたどることになる。モノ余りでモノが売れなくなるのだからメーカー数、生産数ともに半減するのは自明の理と言える。
以上見てきたように、30年後には世界の製造業は半減しているだろう。中小の製造業は高齢化で、大手は過当競争を生き残るための再編と環境問題で追い詰められメーカー数、生産数ともに半減していく。
そして大手企業の再編は下請け、関連産業の中小企業の受注減になり、中小企業は大手より一足早く、加速度的に減少して行かざるを得ない。
さて、そうなると我々はどうなるのか。どの角度から考えても拡大成長はないだろう。縮小均衡の分散型社会を創っていくしかない。そのためにはまず東京一極集中を止めることだが、欲望に取り付かれた人々にそれができるかどうか・・・。
#世界の製造業が半減
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