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激増している銀行員の犯罪と、上層部の無責任体制


 最近、使い込み、着服で懲戒解雇される銀行員が増えている。
今月、西日本シティ銀行の女性行員(47歳)が顧客の金を着服して懲戒解雇された。
着服額は約1,500万円。
被害にあった顧客は2人。
この行員は本店営業部と二日市中央支店勤務時代に45回に渡り着服していたらしい。

 このところ西日本シティ銀行は顧客の預金を使い込む行員が多い。
今年4月にも男性行員(36歳)が顧客3人の預金など計1,300万円を着服したとして懲戒解雇になったばかりだ。

 西日本シティ銀行は1年前に西日本銀行と福岡シティ銀行が合併して誕生しただけに、これらの行員が元西日本銀行の行員なのか、それとも元福岡シティ銀行の行員なのかは不明だが、それ以前から両銀行とも不祥事が多かった。

 今回発覚した使い込み額はそれ以前のものに比べると1桁少ない。
億を超える大金の使い込みはすでに発覚済みだから、最近のものは額が少ないのだろう。
恐らく合併で支店の統廃合、行員の移動があり、その結果、発覚したと思われる。
ということは定期的に移動、検査をしていれば内部犯罪は防げたということであり、それをしていなかったということであり、システム上の問題だということだ。
にもかかわらず、頭取を初め上層部が責任を問われたという話は聞かない。

 顧客から預かった金を数億円単位で着服するような行員が内部にいて、しかも犯罪を犯した行員は一度や二度ではなく複数回にわたり着服しており、それを組織的に見逃していたのだから上層部が責任を取らないのは明らかにおかしい。
すでに、そこからして間違っている。

 それにしても最近、銀行員の犯罪が激増している。
大分銀行では男性行員(55歳)が、01年ごろから複数回にわたってセンターの金庫室から紙幣計1000万円を抜き取っていた。
 よくもまあ金庫室から抜き取って発覚しなかったものだと思うが、抜き取った紙幣の代わりに硬貨を増やし、総額が変わらないように見せていたらしい。
硬貨の下に空箱を積んで上げ底し、さも硬貨が増えたように見せていたというのだからなんとも大胆不敵というか、銀行の管理がいい加減というか。

 このほかにも今年に入って発覚したものだけでもあるわあるは。
 瀬戸信用金庫(愛知県瀬戸市)の支店に勤務する女性職員(26歳)が1億2400万円を着服。
 この女性は昨年10月以降、ATMから現金を抜き出したり、入金せずに横領するなどの手口を繰り返していた。
 千葉銀行では男性行員(40代)が02年11月〜06年6月の間に約1億5500万円を着服。
そのほかにも同銀行では40代の女性行員、40代の男性行員、20代の男性行員などの着服が発覚。この4人合わせて約1億7000万円が着服されていた。

 みずほ銀行では男性行員(45歳)がATMへの補充用現金を総額8800万円着服。
東京都民銀行の男性行員(40歳)は01年から複数回にわたり総額4800万円を着服。
足利銀行の女性行員(46歳)は11年間で約7900万円を着服。
関東つくば銀行は行員3人がそれぞれ複数年にわたり着服を繰り返し、3人で合計2800万円を横領。

 こう見てくると地域差、年齢差、性別差がないことが分かる。
ようはどこの銀行でも内部犯罪が行われているということだ。
しかも共通しているのはチェック体制の甘さから来ているということと、銀行側に犯罪性の認識が少ないということと、管理責任をどこも取ってないということである。

 こんな変なことが許されていいのだろうか。
繰り返していうが、最も問題なのは犯罪を犯した方にも、管理する側にも、犯罪性の認識が少ないということだ。
被害額を弁済すればそれで事足りるという意識が双方に垣間見える。
それでチョンにしようとしている。
それ以上追求されると銀行の責任問題になるから、なんとしてもそれだけは押さえたいと考えているようだ。

 しかし、これは明らかにチェック体制がなってないという銀行の危機管理システムの問題である。
システム上の問題なのだから、犯罪を犯した個人の責任を追求して事足りる問題ではない。
明らかに頭取をはじめとする上層部の責任が問われる問題であると思われるが、どこもそれを追求しようとはしない。株主も金融庁も。
こんな無責任体制では今後も同種の犯罪が減ることはないだろう。


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