恐怖支配で家豚・忠犬体質に
ここで重要になってくるのが東北新社と政権との距離である。こう言えば「森友、加計学園問題」を想起する読者も多いに違いないが、同じ構図がここでも見える。
現首相の菅義偉氏は官房長官の前は総務副大臣・大臣職にあった。ただ単にそこで職務を果たしたというだけではない。権力を振りかざし、意に沿わない官僚を飛ばすなど恐怖支配を行っていたのだ。
その甲斐(?)もあり、総務省は菅氏の「天領」であり、菅氏の意を汲んで動く「家豚」「忠犬体質」が出来上がっている。このことをまず頭に入れておく必要がある。
次に菅氏と東北新社の親しい関係。同社の創業者は同じ東北出身ということもあり、菅氏の後援者、いわばスポンサー的な立場にある程近く親しい関係にあった。
となれば同社はその関係を利用しようと考えるのは当然だろうし、総務省官僚は菅氏と同社の関係を知っているだけに、同社の申し出に対し便宜を図ろうとしただろう。無碍に扱ったりして菅氏の怒りを買い、どこかへ飛ばされたのではかなわない、と考えるのは人の常だろう。
結果、審査が甘くなったのか、違反に気付かない振りをしたのか、見逃したのか。いずれにしろ職務怠慢と批判されても仕方ない。
しかし、問題はもっと上の方にあった。この時の決済最上者は情報流通行政局長だが、それが誰あろう山田真貴子氏だったというではないか。
彼女がさっさと辞職した本当の理由はここにあったのだろう。菅氏に登用されてきた山田氏は自分が辞職することで菅氏を守ったつもりなのか、それとも国会で自分が集中砲火を浴びて倒れるのを恐れたのか。まあ、色んな思いが交錯する中で、この先も見つめながら、辞職するのが一番賢い方法と考えたのだろう。
問題の根底には菅体質が
悪い奴ほどよく眠る、とはよく言ったものだ。この問題の表の主役が総務省だとしても影の主役は誰あろう菅氏である。以前にも指摘したが、私は彼の冷たく、動きがない目を見るとゾッとする。とても陰湿なものを感じる。
こうした目をした人物は独裁者の陰に隠れて権力を振るう人物であり、本来表に出て活動するタイプではない。裏で権力を支えるタイプであり、そうした役回りを与えれた時に本領を発揮する。官房長官こそが適役だったが、間違って首相になってしまった。
官房長官が適役だったのは「カミソリ後藤田」と言われた後藤田正晴氏ではなかったか思うが、彼は情の人でもあり、とても優しい目をしている。その点が菅氏と決定的に違う。
さらに個人的な感想を言えば、菅氏の喋り方にも性格がよく現れている。口を大きく開けずに喋る喋り方は東北人特有の喋り方と言えなくもないが、それとは少し違うものを感じる。会見等でも「その指摘は当たらない」という言葉をよく発しているが、質問に真摯に答えようという姿勢は見て取れないし、「丁寧に説明していく」という言葉とはまったく裏腹のことを感じる。
極めつけは自分の「政策に反対する者を移動させるのは当然じゃないですか」という言葉だ。反対意見は認めない、反対者は排除し、自分に賛同する者達だけを集めるというのはファッシズム以外の何物でもない。
そういう体質に総務省を変えてしまったことこそが問題であり、今回の根底には「スガッシズム」とでも呼ぶべき菅氏によるファッシズム体質がある。それを変えることこそが必要だろう。
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