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セブン・イレブンが転落する時(1)


 コンビニエンスストアのセブン・イレブンが岐路に立たされている−−。同社の根幹ともいえるシステムが地方からの「反乱」で揺さぶられているのだ。その対応いかんでは、自他ともに認めるコンビニの雄も一気にトップから転落する可能性がある。

波紋を呼んだ1枚の貼り紙

 いままで社会問題にならなかったのが不思議なぐらいだが、コンビニ経営を巡っては過去、様々な問題が取り沙汰されてきた。
 その最たるものはフランチャイズ本部と加盟店の問題だが、フランチャイズ制をとっているところはコンビニに限らず多い。そしてどこも本部と加盟店の対立は大なり小なり存在している。だが、コンビニが抱えている対立が最も深刻かつ酷いのだ。それに関しては以前から「コンビニ残酷物語」というような表現で表に出、問題視されることがあったが、それでもいままでは業界内部の問題として一部の口の端に上る程度で、大きな社会問題として捉えられることはなかった。
 しかし、今回はちょっと様子が違った。関西経済同友会の代表幹事らから契約内容についてまで批判の声が上がれば、さすがにセブン・イレブン・ジャパン本部も無視するわけにはいかないだろう。

 セブン・イレブンの強さの原動力は本部指導の強さである。本部は絶対権力とまでいえる権力を持ち、本部の指導に対し加盟店側は絶対服従を強いられ、異を唱えることはできない。
 もう一つが24時間営業。今回問題になっているのも24時間営業で、きっかけは人手不足等で24時間営業が不可能になった関西の某加盟店オーナーが営業時間の短縮に踏み切った。ところが、本部は契約を盾に時間短縮を認めず、加盟店と対立しているのだ。
 上記加盟店が店頭に貼り出した紙には次のように記されている。

<諸事情により2019年2月1日より しばらくの間、営業時間を 6時から25時までに、短縮させていただきます。>

 加盟店は唐突に営業時間短縮を打ち出したわけではなく、何度も本部にお願いをしていたようだ。にもかかわらず、なぜ本部は時短営業を認めないのか。そのことに触れる前にコンビニのフランチャイズ形態がどのようになっているのか。「コンビニ残酷物語」と言われるのはなぜなのかを見てみよう。

長時間労働を強いられる店主

 コンビニの加盟店オーナーになるには次の3つのパターンがある。
1.土地も建物も自前の経営者
2.土地は借地で、建物だけが自前の経営者
3.土地も建物も持たない雇われ経営者

 最も多いのが3で、彼らは「コンビニ経営者になりませんか」という本部の募集に応じてコンビニ経営に乗り出した、言うならサラリーマン経営者。当然、他の1、2のオーナーに比べて取り分も少ないし、本部との力関係も弱くなる。
 そして彼らの多くは夫婦、あるいは子供も加えた家族経営で行っている。今回、営業時間の短縮に踏み切ったオーナーも主な働き手は夫婦で、それにアルバイトを雇った経営である。
 サラリーマン経営者であるが故に立場が弱く、「嫌なら辞めてもらっていい」という本部の「脅し」に逆らえない。辞めれば明日から路頭に迷うことになる。アルバイトが休んだり辞めれば代わりが見つかるまで自分達が働かざるを得ない。「働き方改革」が言われている現在でも、だ。

 なぜコンビニは24時間営業を続けるのか、24時間営業に拘るのか。それに対し、セブン・イレブン本部は「社会インフラとしての機能を備えている」からだと言う。果たしてそうかと思うが、それは後にして同業他社の動きを見てみよう。

                                               (2)に続く

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