デル株式会社

 


分断する社会では独裁化が進む。(3)
〜所得増なくして経済成長なし


所得増なくして経済成長なし

 一将功成りて万骨枯れる−−。一握りの企業だけが儲かり、圧倒的多数の中小、特に小規模企業は消えてなくなり、そこで働く人達が職を失って、好景気と言えるのか。景気が良くなったと喜べるのか。
 企業で働く従業員が職を失えば、あるいは彼らの収入が減れば、それだけ消費が減るということであり、効率優先、生産性優先主義者の主張とは逆に国内経済は成長どころか逆に停滞する。
 このことは小泉政権、安倍政権下で人々が実感してきたはずである。政府が発表する好景気とは逆に庶民の生活は一向に向上しない、と。当時「実感なき景気回復」と言われたが、儲かっているのは一部の企業だけで、そこで働く従業員でさえ、その恩恵を受けてこなかったからだ。

 所得が増えなければ消費は増えない。需要が落ちれば作ったモノが国内では売れなくなる。そうなれば、生き残った企業も市場を国外に求めざるをえなくなる。
 国外といっても、そこの国・地方の経済がよくて、人々に購買力がなければ市場にならない。そういう場所はそう多くはないから世界中の企業が少ない市場に群がることになる。すると日本で作った完成品を輸出して現地で販売していたのでは競合他社との価格競争に負けてしまう。
 コストダウンを図り競争力を付けるためには現地で生産した方がいいから企業の海外進出が進む。当然、国内の雇用は減少するし、国内に残った企業も従業員数を減らすか、従業員を非正規雇用に変えて賃金ダウンを図ろうとする。
 結果、企業は儲かっても人々の収入はダウンする。収入が下がれば消費に回す金は減り、国内需要は増えるどころか減少し、実質景気は一向によくならない。
 この20年近く行われたことが性懲りもなく菅政権でも繰り返されようとしている。その指南役、アドバイザーが竹中でありアトキンソンである。

 もちろん、このような状況を喜び、富む一部の人間はいる。そして富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなり、社会が2極に分化していく。

 問題は分化ではなく分断であり、2極化が固定化することだ。一度下層に押し流された人々は二度と戻れなくなる。もはやアメリカンドリームもジャパンドリーム(あればだが)も存在しない。最近は大手企業の中には大量リストラに踏み切る所も相次いでいるし、COVID-19でさらに拍車がかかる傾向があり、今後ますます下流に押し流される人達は増えていくだろう。
                                         (4)に続く

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