この世はフェイクで溢れている〜口コミ編(2)


 問題はその評価が信じられるかどうかだ。そのことに思いを致したのは最近で、それまでもネット通販で商品を買っていたが、口コミ評価は旅先の宿を決める時以外はほとんど見たことがなかった。
 それが腰痛悪化で2か月近く外出できなかったため、重いもの、嵩張るものはもちろんだが、ちょっとした小物までネット通販で買うなどネットショッピングを利用する機会が増えた。
 それまでほとんど気にも留めなかった口コミ評価を丹念に見るようになったのもこの頃からだが、その内あることに気付いた。多くの口コミ評価が商品を実際に使用した上で書き込まれたものではなさそうだ、と。
 「届いたばかりでまだ使っていませんが、よさそうです」「安く買えてよかった」「まだ飲んでないが、おいしそうです」「使いやすそうです」「スムーズな配送でした」等々。

 こうした書き込みは主に1万円未満の商品、どうかすれば数1000円の商品に多く見られたので、それほど気にも留めなかった。どうせポイント稼ぎの書き込みだろうぐらいに思ったから。
 ところが、どうもそうではないらしい。そこにビジネスが介在していたのだ。もちろん、すべてがそうではないだろうが、商品レビューを書き込むことで、その商品がもらえたり、常連になると勝手に商品が送られてきて、5つ星等の高評価を書き込んでくれという指示があるらしい。

 指示してくるのは出展業者である。口コミ投稿者は商品が無料で手に入るわけだから、低評価は書き込まない。
 かくしてネットの口コミ評価は高評価だらけになる。たまに中・低 評価があるが、それらは実際に使用してみた実感想だ。
 そういう内実を知らない消費者が高評価を信じて購入すると、後で、あの評価は何だったのかと、ガッカリすることにもなる。これが詐欺行為とまでは言わないが、「フェイク評価」なのは確かだ。

 なぜ、こうした「フェイク口コミ」の書き込みが行われているのか。理由は高評価レビュー・口コミが多い程、上位に表示されるからだ。ネット検索で見られるのは大体上位10番目ぐらいまでというのは定説で、できれば上位3番目ぐらいまでにランクされるかどうかで売り上げが大きく変わる。
 そのためには高評価を多く書き込んで欲しい→評価・レビューを買う、という図式が出来上がっている。

 最近の研究では、消費者の購買行動を左右しているのは評価の程度より、レビュー・口コミ投稿の多さの方だという結果も示されている。
 たしかに口コミ投稿数の少ない商品は買うのをためらってしまう。それは客が入ってない店より客が多い店の方に吸い寄せられて入るのと同じだ。多くの人がその店を利用している安心感がそうさせるわけだ。
 その辺りの心理をうまく利用し、「フェイク」で客を釣るサクラ商法なのは間違いない。顔が見えないネット社会だからこそ、消費者には賢さが要求される。

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