嘉手納基地を一望する
那覇市内のホテルを9時過ぎに出て、レンタカーで国道58号線を北上する。この日の最終目的地は本部(もとぶ)町の美ら海水族館。途中、「道の駅かでな」に寄り、名護市役所、今帰仁(なきじん)城跡、美ら海というのが予定コースで、時間が取れるようなら読谷(よみたん)村に寄りたいと密かに考えていた。このコースだと、高速道路よりは一般国道を走った方が便利がいいし、所要時間もそれ程差がなさそうだった。
沖縄まで行って道の駅?と怪訝に思われるかもしれないが、目的は「道の駅かでな」の3階屋上。そこから嘉手納基地が一望できるのだ。
屋上に上がると備え付けの望遠鏡で基地を覗いたり、記念撮影をしている団体に混じって、いかにもプロカメラマンと思える男達が数人たむろしていた。テーブルの上に大きなカメラバッグと一眼レフカメラを置いている。バッグの蓋は開かれたままで、幾本かの交換レンズが入っているのが見える。カメラに設置されているのは超望遠レンズ。白レンズと言われるキャノンの高級望遠レンズを付けている人、ビデオカメラを三脚に設置したまま話し込んでいる男達は何かを待っている風にも見えるし、そうでなさそうにも見える。カメラはいつでも撮影できるようにスタンバイしているが、誰一人ファインダーを覗こうともしない。観光客が去った後でも、そこに居て、動こうとしない。近づいて、それとなく見てみる。ビデオカメラにTV局の名称が見えた。報道カメラマンらしい。その内の一人、年配の男に近付くと無愛想な目でジロッと一瞥されたが、ひるまず話しかけた。「よくここに来ているのですか」「いや」。取り付く島もなかった。
観光客ならいざしらず、報道カメラマンが何の目的もなくこの場所にいるわけがない。何かを狙っているに違いなかった。それにしては誰もカメラを手にしようとはしない。おかしい。こちらは午後4時過ぎには美ら海水族館に着かなければならないし、途中、名護市役所、今帰仁城跡でそれぞれ小1時間潰すことを考えると、ここでそう時間を潰す訳にはいかない。だが、彼らの存在がどうしても気になる。
そこで今度は彼らがいるテーブルに着き、その中の少し若い人に話しかけた。今度はきちんと話に応じてくれた。
彼の話を総合すると、ここにいる連中は皆マスメディア関係で、嘉手納基地を毎日「張っている」らしい。飛行機をまるで車のように見分け、なんという飛行機が飛び立てば中国で、北朝鮮で何かが起きそうだということが分かると言っていた。
「嘉手納基地を見ていればアジアの動きが分かるんです」
それにしても仕事はいえ毎日朝からこの場所に来て基地を1日見張っているとは。
そこでふと思い当たった。彼はフジテレビと言っていたが契約社員ではないだろうか。そして恐らく、この場所にいる他の男達も皆同じように契約社員に違いない。基地になんらかの動きが見られた時、撮影した映像を各人の契約先メディアに送り、買い上げてもらうのではないだろうか。
いつも同じ仲間とばかり話すのではなく、時には違う人間と話したいと思ったのか、彼は次から次に色々と教えてくれた。普天間基地も見たいと思っていたので、どこに行けば基地を一望できるか尋ねたところ、嘉数(かかず)高台という場所を教えてくれたので沖縄滞在最終日(といっても3日目だが)には普天間基地も一望した。
道の駅から眺めた嘉手納基地の写真はブログ「栗野的風景」8月3日に
普天間基地の写真はブログ「栗野的風景」8月5日にアップしています。
テトラポッド上から落下する
本稿冒頭(8月8日配信)で「沖縄旅行から無事に帰ってきた」と書いたが、実は嘉手納基地を一望し、名護市役所に向かう途中、あまりにも海がきれいだったので堤防の上に上がり撮影をしていて落ちたのだ。
よせばいいのに堤防の向こう側に消波ブロック、テトラポッドが幾重にも積み重ねられていたので、その先まで行き撮影をしていた。
そして引き返そうとした時、足を滑らせて3,4m下まで落下したのだ。左手中指をざっくり切り、右肘の擦り傷(こちらのほうが治りが遅かった)程度で助かったのは奇跡といえるかもしれない。
帰福後、外科に行くと「テトラポッドから落ちてなくなる人が毎年何人か居るのですよ。よく無事でしたね」と言われてしまった。
どうも根はおっちょこちょいのようだ。よせばいいのに最前線に出ようとして流れ弾に当たるタイプのようだ。もうそろそろ落ち着いた方がいいと注意もされるし、自分でもそう思うが、一体いつになればこの性格が変わるのか。
テトラポッドから落ちた時のことは7月29日の「栗野的風景」に書いているので、ここでは省くが、それにしても最近よく落ちる。次は危ないかも・・・。
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