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責任逃れの言い分けに使われる個人情報保護法(1)


 個人情報保護法が成立した時、これは「天下の悪法」−−というのは多少大袈裟かもしれないが、これで取材がやりにくくなり、情報が秘匿されていくだろうと思ったのは事実だ。結果、今その通りになっている。一方で情報公開が叫ばれながら、現実はそれに逆行する動きはますます強まっている。
 例えばいま話題の豊洲市場問題。本来、盛り土をするべきだったところに盛り土がされてなく、おまけに地下空間から環境基準を上回るベンゼンやヒ素、さらには地下空間の大気から国の指針の7倍に当たる水銀が検出された。これらに対し、即座に健康に影響を与えるものではないと言われても、豊洲市場で扱っているものを食べたいと思う消費者は恐らく皆無だろうし、環境汚染の中で働くことに不安を感じない市場関係者もいないだろう。

個人情報を盾に情報開示を拒む

 とにかく次から次へといろんな疑惑が出てくる豊洲市場移転問題だが、問題の解明を遅らせているものに都の情報秘匿があるのは誰の目にも明らかだろう。役人の事なかれ主義、責任逃れ体質は何も今に始まったことではないし、都だけではないと言われるかもしれないが、仮にそうであってもそれでよしとして見逃すわけにはいかない。やはり一つひとつ問題を潰していかなければいつまでたっても変わらない。
 さらに言うなら、そういう問題を見過ごしていくと逆に彼らの闇の中に取り込まれ、ミイラ取りがミイラになってしまう。そういう意味で小池都知事は今が正念場。ここで安易な妥協をし、落とし所など探るのではなく、この際徹底的に膿を出し、透明な都政にすべきだ。そのためにも情報公開をしっかり行ってもらいたい。

 ところが伏魔殿・都庁はそうやすやすと情報を公開しない。ひたすら隠すことで自らを守ろうとする。豊洲市場の盛り土がされなかった問題の検証報告内容がそうだ。10月6日に行われた都議会経済・港湾委員会の集中審議で、「ヒアリング内容が真実の究明には重要。証言は公開できるのか」との自民党議員の質問(追求?)に対し、中央卸売市場の担当者は「ヒアリングは行政監察手続きの一環で実施した。聴取を受けていることや聴取の発言は個人情報に当たる」から公開できないと答弁している。
 ヒアリング内容を明らかにすると誰が何を言ったかという個人名が出てくるので、それは個人情報だから明らかにできないというわけだ。早い話、個人情報保護法を盾に事実の隠蔽を画策しているとしか言い様がない。
 こういう場合に個人情報保護を盾に情報を秘匿するのは間違いだし、個人情報保護法が適用されるとも思わないが、この法が施行されて以後、あらゆる場面でこういうパターンに遭遇する。
 「個人情報ですので」。これさえ唱えておけば、面倒なことに巻き込まれなくて済むし、あらゆる責任から逃れられると思い込み、呪文のようにこれを唱える。特に公務員が。その結果、おかしなことが起きる。不都合な事実だけでなく、好都合な事実まで伝わらなくなるのだ。

「あいさつは魔法の道具」と教えた校長

 以下は実際に私が経験したことである。昨春、帰省した際、ポストにPTA新聞が投函されていたのを見つけた。新聞と言ってもA4用紙の見開き程度の大きさの紙1枚で、そこに「平成26年度を振り返って」と題した1文が載っていた。書いたのは地元校のK校長。以下、引用してみる。

 「元気に 笑顔で 一生懸命!」始業の式の日、160名の子ども達に一番に伝えた言葉です。人生いろんなことがありますが、「元気に 笑顔で 一生懸命!」に生きたいと私も思っていますし、子ども達にもこうあって欲しいと思っています。その時、がんばってほしいことを2つ話しました。
 1つは「気持ちの良いあいさつをしよう。」ということです。気持ちの良い挨拶をすれば、自然と笑顔になります。笑顔が多くなればやる気が湧きます。やる気が湧けば色々なことが出来るようになります。色々なことが出来るようになれば、自信がつきます。自信がつけばもっと他のことにチャレンジしようという気持ちが湧いてきます。『あいさつは魔法の道具』です。(原文のまま。以下割愛)
                                                 (2)に続く


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