栗野的視点(No.778) 2022年10月7日
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政治家の仕事は国民の生活を守ることだ。
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値上げ、値上げで音を上げる
10月1日から一斉に値上げが始まった。ただ、この日に全メーカー、全商品が足並みを揃えて値上げされたわけではない。この日からの値上げ品目が多いというだけで、値上げは今春、今夏から五月雨(さみだれ)式に続いている。
例えば高速道路各社は「コロナ対策」という名の下に土日祝日、年末年始、お盆時期の高速道路割引を「中止」したし、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の案内所の無人化を進め、デジタル化という名の下に高速道路地図の廃止などを密かに進めている。
驚いたのはSAで自販機のコーヒーを飲んだ時、紙コップに注がれたコーヒーの量が半分近くにまで減っていたことだ。たしかに円安等の影響もあり、輸入コーヒー豆が値上がりしていることは知っていたが、これはあまりにヒドイ。
いつからこんなに量が減ったのか、あるいは機械の誤作動で半分しかコーヒーが入らなかったのかを確かめようとしてもSA内のインフォメーションは無人化され、窓口にはシャッターが下りているから確かめようもない。
スーパーの商品も五月雨的に値上げされてきたが、一見、値上げと分からない値上げは結構ある。例えば1か月余り前に豆腐を買った時、何となく小さくなっているような気がしたので注視したところ豆腐の4辺とパックの間の隙間が広がっていることに気付いた。値上げする代わりに内容量を減らしたわけだ。
いっそ販売価格を値上げしてくれた方が分かりやすくていいと思うのだが、販売する側は少しでも値上げを意識させたくないから、内容量を減らしても販売価格は据え置くという「姑息」な手段を取ってくる。
ただ豆腐やモヤシ業者は小零細企業が多いから卸価格の値上げを認め、販売価格に反映し、それらの企業を守ってやる責任が大手販売店にはあるだろう。
まあ、驚異的な円安による原価アップのため商品の値上げはやむを得ないだろうが、消費者にしてみれば食品や日用品の値上げは堪える。富裕層にとっては痛くも痒くもない値上げかもしれないが、低所得者層にはボディブローどころかテンプルパンチを受けたぐらいに堪える。
ささやかな値上げ対抗策
庶民が取れる対応策は限られている。最も効果的なのはモノを買わないことだが、食品などの生活必需品は買わないわけにはいかない。せいぜい嗜好品は買わないか、量を減らすぐらいしかできないが、嗜好品ほどなかなかそういかないみたいで、10月1日の値上げ前に買いだめに走った人が結構多いらしい。
賞味期限が比較的長いという理由でビールの買いだめに走った消費者が多く、ビールがよく売れているとメディアで報じていたが、これなどはメディアが買いだめを煽った一面もあるのではないか。
ビールの買いだめといっても1年分も買いだめできるはずもなく、せいぜい2、3ケースだろう。しかし、買いだめは節約どころか逆効果になることが多い。家に在庫があると思うとついつい飲んでしまうことがままあり、節約のつもりがいつもより消費してしまう。
では何か方法があるのか。国も県も市も何もしないわけにはいかないから、またまたプレミアム商品券なるものを編み出し、各地で発行している。私が住んでいる地域でもプレミアム率20%の商品券を10月1日に発売した。
販売開始時間は朝10時からだが、その時間にはもう長蛇の列が出来ていて、行列に並んで買うまでに1時間半という有り様。
私自身は元々こういうのに興味がない。というのも仮に1万円で1万2000円分の商品券を買うと、2000円分得したような気になり余分なものを買ってしまうからだ。つまり1万2000円の現金という感覚ではなく、2000円分貰ったような気になり2000円どころか3000円余計な買い物をしてしまう。ビールだって冷蔵庫に残ってなければわざわざ買いにまで出かけないが、ストックがあると思えばいつもは1本しか飲まないところを2本飲んでしまう。
まあ、意思が弱い、自己管理が出来ないといえばその通りだが、己を知っているだけに眼の前の人参に飛び付かない。だから儲かることはほとんどないが、損をすることもそれほどない。ギャンブルには向かない性格だ。
庶民はせいぜいこの程度の生活防衛策しか取れないが、本来、国民の生活を守るのが政治家の仕事。それなのに何億円か使って「国葬」をする。そんなにやりたければ「自民党葬」としてやればいいのだ。そうすれば誰も反対しなかったのに。
政治家が考えなければいけないのは「国民の生活が第一」で、政治家の生活が第一ではないだろう。
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