出店攻勢のドラッグストア
小売り、外食は総じて惨憺たるもので、イオンモールも専門店はCOVID-19の影響でずっと閉めていたが、やっと営業再開しだしたところで客足が戻るのはまだ先になりそうだ。
しかし食品売り場は逆で、普段より売り上げアップで推移しているとのこと。休校、リモートオフィス、自宅待機などの影響で自宅での食事が2倍〜3倍になり、その分食料品への支出が増えている。
といっても、これはスーパーの話で地元商店街の食料品店や小さな個人商店はその恩恵を受けていない。
ところが、こんな時期でも出店している店舗がある。1週間程前だったかパートナーから、こんな疑問を呈された。「〇〇の跡に店がオープンするらしいけど、さて何の店でしょう」と。閉店なら分かるが、新規オープンと聞いて考えた。
「この時期に出店できるほど勢いがある業種となるとドラッグストアしかなさそうだが」
と言うと、「当たり、マツモトキヨシです」と言われた。
一時期、マツモトキヨシは業界トップで、福岡に初進出してきた時など競合店は戦々恐々としていたが、半年から1年もすれば「うち辺りも影響を受けるのではと心配していたけど、大したことはなかったですね」(配置薬業者)と言われる程で、価格破壊力も集客力も恐れるほどではなかった。
考えてみれば、そのしばらく後ぐらいから同社が業界トップの座から滑り落ち、いまでは業界内でもさほど話題にもならなくなった。
また来年2月には同じくドラッグストアのコスモス薬品が同じ町内にオープンする。敷地面積はコスモスの方がマツモトキヨシより大きいが、恐らく駐車場の広さ分の違いぐらいだろうが、それがどのように影響するのか、しないのか。
近年、ドラッグストアのスーパー化が進んでおり、食品を扱うのは当たり前になっている。逆に言えば、食品、酒類の取り扱いがない、文字通りのドラッグストアはよほど中心部などの立地でもなければ苦戦を強いられている。
その一例がドラッグイレブン長住店だ。上記2店と同じエリア内だが、上記2店のオープンを待つまでもなく、今夏7月上旬に閉店が決まった。JR九州がフランチャイズ加盟店としてオープンしていたが、出店からわずか1年余りしか持たなかった。
もともと同店は店舗面積、駐車場スペースが狭く、酒類、食料品の取り扱いがない「都市型店舗」で、オープン当初から難しいのではないかと見ていたが、その通りになった。
コスモス薬品(いずれ社名から「薬品」が消えるのではないかと思うが)は首都圏での出店も強化しているようだが、同店の出店を見ていると、特に上記エリアではセブンイレブンのドミナント戦略そのもので、自社店舗間での客の奪い合いになる程の密度である。それが今後、吉と出るか凶と出るか。
(3)に続く
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