デル株式会社

 


「コロナ」が変えた社会(Y)〜浮き彫りにした人間の本性・身勝手さ(3)
〜身内をかばう「専門家」、自分のことを最優先にする首長達


身内をかばう「専門家」体質

 今回の件で最も問題だと考えるのは医師達(医師会ではなく)の身内をかばう体質である。
 この1、2年、メディアに露出し、「新型コロナウイルス」について解説・コメントしたり、感染防止対策にコメントしていた「専門家」が今回の件では途端に口をつぐんだり、身内をかばう発言をしたのだから驚く。

 いつもはほとんどTVを見ないが、その日はたまたまTVをつけると、どこの番組か忘れたが、文春報道を受け自見議員の政治資金パーティーの問題を取り上げていた。
 驚いたのはその番組にコメンテーターとして出演していた愛知医科大学病院感染症科の三鴨廣繁教授とリモートで出演していた釜萢敏医師のコメントだ。

 三鴨氏は「感染防止対策はしっかりなされたうえで行われたのでしょうから」と、まるで中川会長に忖度するような発言を繰り返した。
 釜萢氏に至っては「この後、中川会長が会見されるということですから、それを待ちます」と実質上のコメント拒否だ。

 おいおい、一体何なんだ。「感染防止対策をしっかりしていたと言っても100人も参加してのパーティーですから、これはマズイです。開催すべきでなかったでしょう。まず医療従事者である我々自身が身を律しなければ」とでも言うのかと思えば、上記のような身内擁護コメントばかり。これでは誰も彼らの言うことに耳を貸さなくなる。

 なにより第1線で日々「コロナ」患者の受け入れ、治療を行い、身を粉にし使命感だけで戦っている医療従事者が心を打ち砕かれるだろう。政治資金パーティーに参加する時間と余裕があるなら現場に出てくれ、と言いたいに違いない。
 この国はなにかというと精神論が前面に出る。自治体によっては「医療従事者に感謝の気持ちを届けよう!」と時間を決めて拍手したり、ネオンの色を変えたりしているが、エールは必要だし役に立たないとは思わないが、自治体がすべきことは感謝の気持ちを贈ることではなく、現物支給だろう。

 十分な後方支援がなければ戦えない。必要なのは輜重。人員を増やす。それが即叶わないなら手当を支給する。
 病院によっては経営的な打撃を受け冬や夏のボーナスを減額、不支給するところもあると聞く。それなら病院に代わって自治体が医療従事者各個人に手当を支給して感謝の気持ちを伝えるぐらいのことをやるべきだ。
 精神論では戦えない。必要なのは武器と兵員に兵糧だ。

自分のことを最優先にする首長達

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は人間の理性を狂わせ、本性を顕わにさせる力も持っているらしい。ドラッグストア・スギ薬局を展開するスギホールディングス(愛知県西尾市)の杉浦広一会長夫妻が秘書を通じワクチンの優先接種を再三再四に渡り働きかけていた事実が発覚したのをはじめ、各自治体のトップが優先的にワクチン接種を受けていることも相次いで明らかになっている。

 優先接種についてそれぞれ一見もっともらしい理由を付けて釈明しているが、権力行使なのは間違いない。

 なんとも情けない。市長や町長は住民を守るのが職務であり、船で言えば船長は全乗組員を避難させ、一番最後に避難したものだ。
 それが住民を差し置き、自分が先にワクチン接種を受けようとするのだから、もう世も末、バカらしくてコメントする気にもなれないが、こういう行動に出ている首長が何人も存在していた(兵庫県は4人の首長と副市長1人の5人)という事実はしっかり記憶しておかなければならない。
 一体いつからこんな社会になってしまったのか。


ココチモ


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る






寂聴いきいき人生塾 CD全12巻