まず種類は民間と公的施設に大別され、
民間施設は
1.介護付き有料老人ホーム
2.住宅型有料老人ホーム
3.サービス付き高齢者向け住宅
4.グループホームと区分分けされる。
公的施設には
1.ケアハウス(軽費老人ホーム)
2.特別養護老人ホーム
3.介護老人保健施設
4.介護療養型医療施設がある。
一般的に経費は公的施設の方が安いから誰もが公的施設の方を利用したがる。当然、私もまず公的施設に当たった。
訪ねて行き、説明を受け、内部を見せて欲しいと頼み、案内してもらい、パンフレットをもらって帰るか、可能ならその場で入居申し込み書まで記入して帰るわけだ。
こうすることで実家からの距離、施設周辺の環境、入居条件、待機人数、職員の態度等々いろんなことが分かってる。
一番の問題は経費だが、それと同程度かそれ以上に重要なチェックポイントは職員の態度だった。
職員の対応やお年寄りに対する言葉遣い、お年寄りが職員に対し取る態度などを、注意してそれとなく見ていれば、入所しているお年寄りが快適に過ごしているか、そうでないかが分かる。
具体的に言えば職員が大声を出してお年寄りを叱ったり、お年寄りが話しかけているのに無視したり、ひどいのになると叩いたり、あるいはお年寄りが職員に怯える態度を示したりしていれば、そういう施設はまず避けるべきだろう。
こうしたことは入所前の簡単な内覧ですべて分かるわけではないが、少なくとも外部と遮断された閉鎖社会にしないことが内部の人を守ることに繋がる。
だから私は岡山県でも福岡でも極力母の面会に施設を訪ね、訪ねて行った時は母の部屋でも過ごすようにした。それは家族が頻繁に面会に来ればイジメや虐待などは防ぐことができるのではと考えていたからだ。
待機人数は多くても入所順が早くなることも
いくつかの施設を当たって驚いたのは順番待ちの人の数が多いことだった。田舎でさえ30人と聞かされたが、福岡の施設では100人と知らされ絶望的な気分になった。部屋が空くのはどういう時か尋ねると、お亡くなりになった時か病院に入院された時です、と言われれば順番が回ってくる前に亡くなってしまう。それなら申し込みをしてもムダだと、帰ろうとするとすると「100人待っているから100番目ということではない」と言われ、またまた面食らった。
言われたことの意味を即座には理解できなかったが、皆さん1箇所ではなく複数の施設に申し込みをしているため、すでに他の施設に入っていたり、中には亡くなられる方も出るので、実際には順番が繰り上がることがあるということらしい。
そう言われて初めてこちらの愚かさに気付いた。いままでバカ正直に1箇所にだけ申込書を出していたのだ。
それからは手当たり次第ではないが、複数の施設に申込書を出し、時々いま何番目になっているかを確認するようにした。
その結果、福岡のグループホームから突然電話があり、急遽母を岡山県の施設から退所させ、数日後に福岡へ連れて来て入所させたのだった。
岡山県で入所していた施設は分類でいえば民間の住宅型有料老人ホーム。3食付きで部屋は個室。食事は食堂で入所者が一緒に食べる。食後はリビング兼食堂でそのまま他の入所者と話をしていてもいいし、自分の部屋に戻りTVを見たりして過ごしてもいい。室内の掃除や洗濯は基本は自分でするようになっているが、有料契約をすれば掃除、洗濯はしてもらえる。
そして施設から週2日はデイケアにも通うなど楽しく過ごしていたが、認知症による寂しがりが進み、問題も色々あり、その度に母から福岡まで電話がかかってきて「もう、死にます」などと言って困らせるものだから、福岡の施設に入れた方がいいかもしれないと思い出した。
それからである。福岡であちこちの施設を訪ね、申込書を出して行ったのは。しかし既述したように待機人数は100人前後。某グループホームでは「空いている所があるんですか」と男性職員に突き放すように冷たく言われたこともあった。当然そこには申込書も出さなかったが。
そんな状態だから数年待ちを覚悟しながらも母の意志を折に触れ何度も確かめた。
「福岡へ来た方がいいか。福岡に来ても一緒には住めないよ。ここと同じような施設に入ることになるけど、それでもいいか」と。
「福岡でも施設に入るんじゃろ。分かっている。お前の近くがいい。その代わり会いに来てくれるんだろ」
「もちろん。福岡に来れば近いんだから、いつでも会いに行くよ」
認知症だからよく分かっていないかもしれないと考え、期間を開けて同じようなことを何度か尋ねたが、「お前の近くがいい」といつも言う。これは一時の感情でも、勘違いしているわけでもなさそうだと思い、福岡での施設探しを本格化したのだった。数年待ちを覚悟しながら。
(4)に続く
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