外国メディアはどう見ているか
小沢氏が国内マスメディアから嫌われるもう一つの理由は無愛想なこと。「黙して語らない」のだ。これは彼の致命的な欠点であり、メディア嫌いが様々な憶測を呼ぶことになり、古いタイプの政治家として嫌われる一因にもなっている。もう少し雄弁になれば有権者の見方も変わるだろうに。
ところで、外国メディアは今回の離党劇をどう見ているのだろうか。
6月29日、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版が「『闇将軍』小沢氏に日本再生のチャンス与えた消費増税」と題して次のような社説記事を書いていた。
以下、抜粋してみる。
「過去20年間にわたって消費増税を政治家に働きかけてきた日本の財務省がついに、思い通りの結果を手に入れた。・・・官僚たちは金融危機を防ぐために必要な措置だと言うが、経済に占める政府の割合が拡大されるのも事実である。これにより官僚はさらに大きな力を握ることになる。この法案の可決によって得をしたのは財務省ぐらいだろう」
「駆け引きのうまさから「闇将軍」として知られる同氏は民主党を離党し、新党を結成するとみられている。小沢氏への国民の支持は・・・消費増税に長年反対してきたことなどが好感されて高まることもあり得る。
そうなれば日本にとっては朗報である。・・・経済政策をめぐる論争がついに公の場に移され、1980年代のバブル崩壊からずっと問題を先送りにしてきた一連のコンセンサス主義の短命政権とは違う選択肢が有権者に与えられるかもしれない」
「これに似たことが起きるのではという期待感は、小沢氏の力で民主党が自民党に大勝し、政権交代が起きた2009年にもあった。しかし、初めて与党になった民主党の政治は、公的部門の組合の支持に頼っていることもあり、過去の保守的な党派政治に姿を変えてしまった。政治家が財務省の圧力に抗うのは容易ではない。というのも財務省には公共支出を各選挙区に振り分ける権限があり、これで政治家の再選を後押しすることも可能だからである。結局、消費増税をする前に行政機関を徹底的に見直し、無駄や不正を排除することを約束した民主党の選挙時のマニフェストが守られることはなかった」
「増税の開始が転換点になるかもしれない。1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられた時・・・経済はそれまでプラス成長を示していたが、翌四半期には前期比で2.9%、年率換算では11.2%も縮小し、1974年以来で最大の下げ幅となった。好調だった輸出の伸びがなければ、その縮小幅は14.7%にもなっていたという。消費の低迷はその後も続き、自動車の販売台数に至っては減少が32カ月間も続いた。
景気がようやく回復したのは、小沢氏が当時代表を務めていた自由党が自民党との連立の条件として減税を要求してからのことだった。
小沢氏を説得力のある改革の先導者候補にしているのは、同氏の官僚制度に対する根深い不信感である」
政治の局面を政局でしか見ない国内メディアとは随分視点が違うことが分かる。
国民にとって大事なのは「小沢=悪」という作られたイメージを基に行われた「世論調査」の支持率結果や、その結果を基に論じられる「期待度」などではなく、政治の内容である。
小沢氏のもう一つの顔、よく言われる「陰の実力者」「悪人・小沢」などではなく、日本の政治を根本から変えようとしている「改革者」の顔にこそ我々は注目すべきだろう。そして彼にそれを実行するよう迫り、彼らが政局に走ろうとした時には、彼ら自身に真の目的を思い出させるようにすることこそジャーナリズムの役目ではないだろうか。
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