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パラダイムシフトが起きている(3)
金融ホスピタリティを目指す巣鴨信用金庫(後)


先義後利へパラダイムシフト

 前号のシグマの顧客対応でも述べたが、巣鴨信金でも「先義後利」の考えが貫かれている。
 利益追求を目的にすれば、縁日に行く人にトイレを開放するだけでなくホールまで無料休憩所として開放し、さらに茶菓でもてなすことなど考えられない。貫かれているのは地域の人のお手伝いをしたいというボランティア精神であり、かつての商人が持っていた「儲けのためではなく、人様のお役に立ちたい」という先義後利の思想である。
 バブル経済に浮かれた頃、日本人がかなたに追いやり、忘れてきた思想だが、その考えをしっかりと持ち続け、実行している企業があるのはうれしい限りだ。

 日本人の欠点は過去の過ちを反省しようとしないことである。忘れ去るだけだ。強欲資本主義、行き過ぎた金融資本主義、グローバル資本主義等々いろんな言葉で言われる、アメリカ流の金融資本主義の元になっているのは新自由主義的な経済思想である。
 彼らは政府の関与を極力小さくし、市場に任せていれば「見えない手」が働き、行き過ぎを正すと主張し、市場万能主義を唱えた。
 結果はどうだったのか。リーマンショック後に分かったのは市場に「見えざる手」は存在しないということだった。日本では不動産バブルの時にそのことを思い知らされたが、その経験がアメリカには伝わらなかったようだ。
 というのも、日本には神々は存在するが、欧米のように全知全能の唯一神は存在しないから、「ババを引く」ことは恐れたが、全知全能の神が「見えざる手」で秩序を保ってくれることなどハナから信じていないという違いがある。

 人間の欲望は限りなく、誰も自分がババを引くとは思わず、破滅の淵に向かってまっしぐらに突き進んでいく。加熱すればするほど抑制が効かなくなる。それらを抑える一定の役割を果たしてきたのが宗教だが、日本というより仏教はそこが弱い。行動規範をも指し示す倫理というより哲学的思考の方が強いから、キリスト教のようには抑制を効かせられない。
 新自由主義思想に支配され、「強欲」に走ったアメリカではリーマンショック後の反省から、新自由主義思想と決別(完全ではないにしても)し、パラダイムをシフトしている。しかし、日本ではそうした動きはまだあまり見られない。
 それでもシグマの顧客対応といい、巣鴨信金の地域に密着したホスピタリティ姿勢といい、この国でもパラダイムをシフトする動きは現れている。

 最後に補足しておくと、巣鴨信金は「金融業はサービス業」という考えを更に一歩進め、おもてなしをする「ホスピタリティバンク」を目指している。詳細については同信金のHP(http://www.sugamo.co.jp/hospitality/index.html)を参照頂きたい。
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(追加)
 リエゾン九州の会員、株式会社レセプターの社長であり、SuperITコンサルタントの平田教光さんから以下のようなコメントが写真と共に届きました。
          -------------------------------
2/24に巣鴨信用金庫に行って来ました。
朝10時からのサービス開始で30名ほどお客様が集まっていました。
3階フロアーを全て開放してあり150前後入りそうな部屋でした。
3階では肘湯温泉の観光案内のイベントがありました。
1階は販売も可能な商品発表の場を提供されてありました。
話を聞くと「お客様で商品発表したい人に提供しています」との事。
信用金庫なので「組合員ですか?」と尋ねると「弊社ではすべてお客様です」と
の説明でした。
缶お茶は巣鴨信用金庫のPBでした。

九州から来ました「リエゾン九州会員のレセプターです」と話し、説明をいただけました。

 


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