2011年3月11日の東北大震災以後、「頑張ろう○○」「絆」という言葉が流行語か、あたかも護符のように全国で使われだしたが、この言葉にどこか虚しさ、さらに言うならある種の欺瞞めいたものを感じていたのはおそらく私一人ではないだろう。
対して「元気です東北!」という言葉には明るさと親近感を感じる。大したことは出来ないけれど、旅行で来たり、弁当を買ったり、土産を買ったり、ほんのちょっぴり寄付したりするぐらいしかできないけれど、被災地、東北のことはいつまでも忘れない、という気持ちにさせる言葉である。
最後に思わず唸ったのは、中に入っていた絵ハガキである。
弁当箱の外パッケージと同じデザインだが、「東北まるごと弁当」の箇所に「元気です東北!」という文字が入れられていた。実は、一瞥した時には絵ハガキになっているとは気づかなかった。弁当を食べながらなにげなく裏返してみて初めて、あっ、絵ハガキになっているんだ、と気付いたのだった。
これは素晴らしいアイデアだ。まさか弁当箱に絵ハガキが入っているとは思わない意外性がまずある。
次に、この絵ハガキを使うことで東北のPR、ひいてはわずかながらでも東北の復興に協力できる。
実は「東北まるごと弁当」を製造しているのは株式会社こばやし(仙台市)という会社だが、同社の名前は絵ハガキには一切書かれてないのだ。自社弁当のPRならハガキの片隅に社名を入れたいところだろうが、それをしないことで、この紙片を真に絵葉書たらしめている。
企画賞ものの弁当といえる。こうした姿勢はどんどん真似たいものだ。因みに弁当の価格は1,100円。仙台駅はもちろん上野駅でも購買できるようだ。
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