ボールペン1本節約より
ファーストフード方式を導入
会社経営の要は儲ける(利益を出す)ことである。
儲けるためには売り上げを増やすか、経費を削減するかしかない。一番いいのは売り上げを増やしながら、経費を削減することである。
この自明の理が案外理解されてない。というのは、多くの人が売り上げを増やすことには熱心だが、経費を削減することにはあまり熱心に見えないからである。
こういうと、「そんなバカなことはない。どんな企業でもこれ以上できないほど経費を削減している」という反論が即座に飛んで来そうだが、果たしてそうだろうか。
経費の削減という場合2つある。1つはとにかくコスト削減、コスト削減で、「ボールペン1本、クリップ1つムダにするな」と言うやり方である。ひどいのになるとボールペン1本買うのに稟議書を出せというところもある。これでは窮屈すぎて会社が面白くなくなる。
たしかに社員数1,000人以上の企業ともなれば、1人がボールペン1本ムダにするだけで結構な数字になるかもしれない。また机の引き出しに1人でボールペンを何本もしまい込んでいる社員もいるにはいる。そういう社員への意識改革として「ボールペン1本、クリップ1つ」への注意を促すのはいい。しかし、その効果は総じて知れている。大体、節約する人間は言われなくてもするし、無頓着な人間はいくら言われても意識が変わることはない。
電気代の節約にしてもそうだ。
昼休みにムダな電気を消すぐらいならいいが、会社を訪問すると室内がやたら薄暗いところがある。そういうところに限って、出てきた社員の応対も明るくテキパキとはほど遠く、動きも遅く喋り方まで暗い。これでは訪問したこちらの気分まで暗くなる。
第一、暗い室内にいると、発想まで暗く後ろ向きになる。これでは逆効果だ。不要な箇所の電気は消した方がいいが、一律に電気を消して必要なところまで暗くする必要はないだろう。
そんなみみっちいことをするよりもっと効果的な経費節減方法がある。「ファーストフード方式」である。
ファーストフードでコーヒーを頼むと砂糖は要るか、ミルクは要るかと必ず聞かれる。最近はブラックで飲む人が増えているが、一々客に聞くのは客のダイエットに協力しているわけではない。彼らがコストダウンするために聞いているのだ。
というのはコーヒー1杯分の原価より砂糖、ミルク1個の原価の方が高いからだ。砂糖もミルクも要らないと答えてくれた客はそうと意識せずに店の利益に貢献しているわけである。聞かれた方は不快な気持ちがするどころか、逆に店のサービス精神の表れだと思うから、まさに一石二鳥。
この「ファーストフード方式」を会社の経費節約にも導入すべきだと思う。そうすれば社員は強制的に経費節約に協力されているとは感じず、その実大いにコストダウンを実行することになる。
そんな妙手があるわけないと思われるかもしれないが、以下の方法を実行すれば確実に会社(家庭にも通用する)のコストを大幅に削減することができる。
国際電話、遠距離電話が多いなら
Skype導入で通話料ゼロに
実は通信コストの見直しである。
時間あたりの通信費は下がってきているが、家庭にしろ会社にしろ通信費そのものは昔に比べ増大しているはずだ。
それほど社会的活動の中で通信が占める割合は増えているということである。
特に最近は企業活動もグローバル化し、海外と電話でやり取りする機会も増えていると思う。また、全国に支社・営業所を展開している企業は本支社間での通話も多いに違いない。営業会社なら営業社員の携帯電話に連絡することも多いだろう。とすると、これらの企業にとって通信コストはバカにならないはずだ。
その通信費を削減せよということは、会社に営業活動をするなというようなものかもしれない。
しかし、通話時間を増やしながら経費を削減する方法があるのだ。それも大幅に。
さて、その方法には2つある。
まず、海外との通話が多い企業の場合。
国際通話料金をゼロか限りなくゼロにできるのだ。それも初期投資ほとんどなし、煩わしい手続き等一切なしで。
Skypeを使う方法である。
Skype(スカイプ)とはインターネットを利用して通話するソフトのことである。
こういうと、ああYahooやUSENなどと同じインターネット電話かと思う人もいるだろう。
しかしスカイプがそれらと違うのは、ソフトが無料でダウンロードできて、無料で使用できることと、ヤフーなどのプロバイダーに加入したり、IP電話機を取り付けたりしなくてもいいことだ。
パソコンにスカイプソフトを入れさえすればすぐに使える。あと必要なのはマイクが付いたヘッドホンセットだけだ。それも1,000〜3,000円台で買える。
これだけでOK。後は何も必要なし。
実は私自身、スカイプを使い、中国、台湾、香港との間で頻繁に電話をしている。
通話状態は良好だ。それでいて通話料無料なのだから、これほどいいことはない。
国際通話料がゼロになるのだから、このコスト削減効果は大きいはずだ。
ただ一つ難点があるとすれば、通話相手も同じソフトを入れておく必要があることだ。だが、ソフトのダウンロードは世界中どこでもできるし、もともと海外で広がったソフトだから、海外の人間の方がこのソフトの存在を知っている可能性は高い。
固定電話、携帯電話への通話も
Skypeoutを使えば大幅ダウン
「便利なのはよく分かったが、相手がパソコンの前にいない時は使えないではないか。相手が営業でいつも飛び回っているからどうしても通話は相手の携帯電話にすることが多い」
こういう人もいるだろう。その場合はスカイプアウトという機能を使えばいい。
これはスカイプ以外の相手、つまり固定電話や携帯電話と通話する時の方法で、国際電話をかける要領(通話先が国内でも)でダイヤルすれば繋がる。
ただし、この場合は有料になるが、国際電話ははるかに安いし、国内電話でも既存の電話よりは割安になっている。
私がスカイプを導入した理由の一つが実はこの機能を使うことだった。そこで台湾、香港の固定電話、携帯電話にも通話してみたが、問題なく使えるばかりか、通話料が非常に安いのに驚いている。
スカイプのダウンロード先は http://www.skype.com/intl/ja/
このほかにバッファローのHP http://buffalo.jp/skype/index.html
ライブドアのHP http://skype.livedoor.com/
からもダウンロードできるし、使い方が書いてある。
また私のブログにも設定の仕方、注意点を載せているので、参考にして欲しい。
http://blog.livedoor.jp/kurino30/archives/28837031.html
携帯電話同士の通話を
無料にする方法も
通信コスト削減のもう一つの方法は携帯電話の通信料を無料にするやり方だ。
社員に会社の携帯電話を持たせたり、個人の携帯電話の通話料を会社が負担しているところは結構多いはず。
ところが、この携帯通話料を無料にする方法があるのだ。
実はウィルコムの携帯を使えばウィルコム同士の通話・メールは無料になる。
正確には定額制の使い放題だが、毎月、社員の高い通話料を払っているのなら、ウィルコムの携帯電話に替えて社員に持たせれば、本社との通話、あるいは営業所間の社員同士の通話は無料になるから、大幅なコストダウンになるはず。
ウィルコムは元auグループのPHS部門を独立させたものだから、量販店やauショップで加入手続きができるが、PHS網をそのまま使っているので山間部などでは通話不能になる。しかし、主立った市町はほぼカバーしているので、よほどの田舎に行かない限りは利用できる。
最近、ボーダフォンも定額制の使い放題を導入したので、これらの方法を上手に利用すれば通信コストを大幅に下げることが可能になる。
売上高の絶対額が小さい時程コスト削減効果は大きいので、ボールペン1本節約、昼間の電気消灯もいいが、中小企業はもっと前向きなコスト削減方法を研究し、取り組むべきだろう。
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