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Eメールアドレスについて一考。


 今朝、某氏に出したメールが返ってきた。返信ではなく、「送信先のメールボックス容量の制限を超過しているため、メールを送信できませんでした」という配信不能メッセージと共に返ってきたのだ。
 そういえば1、2カ月前にも同じように返ってきていたが、その時は海外旅行にでも行っているのだろうぐらいにしか気にもとめなかった。
 だが、今回は二度目である。もしかするとサーバーからメールを削除するのを忘れている(削除する方法を知らない)のではないかと思い、日頃のご無沙汰ついでに電話をしてみた。
 ところが、以前もらった名刺の電話番号はすでに3年も前に変わっていた。そこで止めてもよかったのだが、ついでだからと電話番号を調べて電話をすることに。

 受話器の向こうから怪訝な声が聞こえてきた。
「どちらの」「どういうご用ですか」「どういうご関係でしょうか」
 怪訝な声が続く。
その度に説明をしていく。
やがて受話器の向こうから聞こえてきた声は沈んだ声に変わった。
「主人は10月に亡くなりました」。
 思わず絶句してしまった。

 胃ガンだったらしい。
入院した時はすでに手遅れで、入院生活を送る間もなく、本当に急逝したようだ。
まだ50代である。あまりにも早すぎる。

 熊本で一時代を画したスーパーの長男だった。親からは後継を期待されたようだが、本人が継ぐこともなく、そのスーパーは市場から消え去った。
 優しい性格だったから、もともと向いていなかったのだろう。会社を辞めた後、熊本で小さなカレーショップを開いたり、IT企業に出資したりしていたが、私が最後にあった時はカレーショップでだった。
 「以前から子供がお父さんのカレーはおいしいと言っていたから」と開店の動機を語ってくれた。
スーパー時代とは違って顔が明るかったのが印象に残っている。
本当はノンビリとした商売をしたかったのだろう。

 それはさておき、メールのアドレスである。
最近はビジネス関係の人でメールアドレスを持ってない人は珍しいくらいである。
それほどEメールが普及してきた。
多くの人が名刺にもメールアドレスを掲載している。

 だからメールが届かないと、ついついいろんなことを考えてしまう。
ビジネスピープルなら会社を辞めたのだろうかとか、経営者なら会社が倒産したのだろうかとか、クーデターで追い出されたのだろうかなどと考えてしまう。
 実際、そのようなことを疑い、電話をかけて無事を確かめたことも幾度となくある。

 ことほど左様にメールアドレスはいまや社名や電話番号と同じようなものである。
なのに自分のアドレスを頻繁に変える人がいる。
理由は迷惑メールが多いからだという。
ビジネスをしている人が迷惑メール対策ぐらいでアドレスを頻繁に変えるというのは、なにか良からぬことでもして、アドレスを変えざるを得なくなったのではないかと逆に勘ぐってしまう。

 迷惑メール対策と信用失墜とどちらが重いかと問えば、人は間違いなく後者だと答えるだろう。
それならなぜ、と思ってしまうが、簡単にアドレスを変えるような人はそこまで思い至らないのだろう。
こういう人に限ってメールは受信中心で自ら発信することは少ないようだ。
 IT、ITと言う前に、一度、メールの効用を考えてみてはどうだろう。


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