武田信玄が「人を見損なう邪道七つの事」と、人材の見分け方7箇条を記しており、その内3箇条は前回紹介したので、今回は4箇条目を紹介しよう。
4.粗忽なる者の、早合点に慌てる気のある人を、よくかろき人に見損なうなり。
粗忽に早合点の者は、大事あれば必ず慌てる者なり。
(そそっかしく、早合点する人を敏捷な人、飲み込みが早い人と見損なうものだ。
そそっかしく、早合点する人は大事が起きたときは必ず慌てるものだ)
多弁な人に多いタイプである。
「ああ、分かった、分かった」
「はいはい、分かりました。それは早速やっておきます」
と、返事が実に速いというか軽い。
「そんなこと言われるまでもなく分かってます。任せてください。きちんとやっておきます」
返事だけ聞いていると実に頼もしい。
なかには喋くり漫才師のように返事が速い人間もいる。
耳から入った言葉が大脳を経由せずに口に直結しているのではないかと思うくらいだ。
こういう人をよく「頭の回転が速い」という人がいるが、頭は回転ネズミよろしく相手の言葉にその都度反応しているだけであり、大脳皮質を使っているわけではない。
だから、こういう人と話をするととても疲れる。
テンションが高い上に持ってきて、話がすぐ横道にずれるからだ。
その度に話を本題に戻す努力をしなければならないから、余分なエネルギーを使う。
また、このタイプは話の全体を理解しない(理解しようとしない)から、何かを指示する時は必ず復唱復命をさせ、相手の理解度を確認しておく必要がある。
それ程思慮を必要としない仕事はすぐやるし、尻軽なので一面非常に役立つが、反面、指示の背景や意図を理解して行う仕事や、チームのリーダーには向いてない。 |