最近の景気回復、株人気を反映してか、今年になって未公開株売買の電話が九州でも急増している。数年後の上場や値上がり必死を謳って勧誘する手口が大半。中には某有名企業の名前を挙げ、そこの未公開株を特別に譲渡するというものまである。怪しげな話が多いのでご用心。
大塚製薬、アース製薬など 有名企業の名前が使われている
先日、日本インベックスを名乗る会社から「株式投資に興味ありますか」という電話がかかってきた。話の内容は次のようなものだった。
「ジャパンメディアという会社を知っていますか。インターネットを使ったテレビ会議システムを開発している会社で、北尾さんが社長をしているSBI、ソフトバンク・インベストメントが第2株主になっているぐらいの会社で、取引先は一流企業ばかりです。この会社の未公開株があるんです。この会社は2001年11月に株式を8分割しているんです。その時は1株65万円でした。2、3年以内に上場する予定なので、上場すれば値上がり必死ですよね。電話だけではよくお分かりにならないでしょうから資料だけでもご覧になりませんか」
このほかにもイージーインベストメントとかリンクス、サクセスジャパンと名乗るところからも電話がかかってくる。いずれの話も未公開株を扱っている点、1、2年内に上場予定で、上場すれば儲かる、と勧めるところが共通している。
しかし、これらはすべて虚偽話だから騙されないように。
例えば4、5月の初め頃に大塚製薬、アース製薬の未公開株購入を勧める電話が全国的にあったが、両社とも「上場の予定はない」「株の譲渡は原則禁止している」
「取締役会の承認がない限り名義書き換えはできない」と、ホームページ上で警告を発している。
巧妙に事実と虚偽を織り交ぜている
それなのになぜ次々に騙され、被害に遭うのか。そこには事実と虚偽が巧妙に織り交ぜられている上に、人間の欲得心に訴えてくるからである。
1.有名企業の名前を言う。
大塚製薬とかアース製薬、ソフトバンクなど誰もが知っている固有名詞を言うことで相手を信じさせる。
2.未公開株を手にすれば儲かるという心理を巧みに突いてくる。
過去の例からして新規株は上場後大幅に値上がりしているところが多い。そのため未公開株を入手できれば大儲けできるという幻想を抱きやすい。
未公開株の販売は証券業に登録されている正規の業者以外は出来ない。また最近、摘発もされているので、販売とは言わず「ある人が株を譲渡したいと言っている」というセールストークをする業者もいるので要注意。「譲渡」の方がはるかにうさんくさい。
3.カタカナのそれらしい社名を名乗る。
なかには図々しくベンチャーキャピタルだと言って相手を信用させたり、将来有望なベンチャーを支援してください、と情に訴えるようなトークをするところさえある。
ベンチャーキャピタルが個人に電話で株の売買を勧誘することはないので騙されないように。
そういえばご丁寧に「ベンチャーに対する支援の気持ちで」というセールストークを言った奴もいた。 儲け話で動かなければ情に訴えようというわけだ。
4.数年内に上場「予定」と言うことで、欲心を煽る。
しかし、実際には上場予定など一切なかったり、あるいは会社の財務内容からしてとても上場など出来ない、むしろ破綻寸前の会社の株だったりする。
最近は摘発もされているので「○年後に上場」とは言わなくなった。
「2、3年後には上場する予定ですが、多少ずれるかも分かりません」とぼかして言質を取られなくする手口も。
5.縁故株の譲渡と巧妙なセールストーク
大塚製薬、アース製薬などが声明を出し、上場の予定は一切ないと打ち消したり、マスコミでも未上場株にまつわる詐欺話が取り上げられ出したので、最近では、「縁故株を持っている人から、売ってくれと頼まれているので数があまりない」と勧め方が実に巧妙になってきているのでくれぐれもご用心。
6.資料だけでもと言う
「電話だけでは分かりにくいと思いますから、まず資料だけでもご覧になりませんか」と勧める手口は一緒だ。
資料を送ってくるぐらいならいいか、と安心して住所を教えると、脈ありと見られる。
なかには身に覚えがない請求書が届いたという所もあるので、いずれにしろ怪しげな話には乗らず、「未公開株には一切興味がない」と断るのが一番だ。
因みに上記の怪しげな会社の所在地はなぜかほとんどが博多駅東だった。同じ会社が社名を使い分けていることも考えられる。いずれにしろ「うまい話には裏がある」の
で、くれぐれもご用心下さい。
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