混雑がある時期に集中しないようにする方法は最低2つある。1つは他の日にも行きやすくすることで、もう1つは移動制限を設けることだ。
高速料金の割り引き廃止は後者に近い。こういう方法は強権国家がよくやる方法で、中国では北京や上海の大都市の渋滞緩和に車のナンバープレート末尾が偶数か奇数によって、運転できる日が決められた(現在も継続されているかどうかは不明)。違反すれば取り締まられ罰則を科せられる。
もちろん休日割り引き廃止をこれらの制度と同列に論じることはできないが、ユーザーサイドに立った制度ではないという点で共通している。
対して前者はユーザー目線の方法で、具体的には休日等の人が集中する日以外の日の料金を下げれば、そちらに移動する人が増え、休日等への集中はある程度緩和される。ところが代替割り引きなしだから、実質値上げである。
富裕層相手だけで旅行関連業界が潤うというならそれでもいいだろうが、そうはいかないだろう。
いままで国の経済力を支えていたのは中間層であり、その層の減少が経済力、国力のダウンに繋がっているのはこの国だけのことではなく世界に共通して見られることである。
であるなら中間層が移動しやすい環境を整えるべきで、休日割り引きを廃止した代わりに平日割り引きを導入するなどの方法を採るべきだろう。
値上げは高速代だけではない。JRは年末年始の新幹線のぞみの運賃の値上げをしきりに宣伝している。自由席を廃止し、全席指定席にするというやつだ。全席指定にしたからといって自由席料金で乗れるわけではない。指定席料を払う必要が生じるわけで、今まで自由席で帰省したり年末年始の旅を楽しんでいた層にはその分負担増になる。
全席指定にした理由について色々言っているが、つまるところは金持ち優遇、庶民からはささやかな楽しみも奪う。乗客が増えるなら連結車両を増やすとか、臨時便を増発するとかの対策もあるだろうが、それらに対しては「運転手不足」ということで退けられそうだ。
それにしてもこのところ、富裕層ばかりが主要顧客にされ、庶民は客として見られていない社会が気になる。まるでシャイロックばかりが溢れている「新資本主義」に未来はあるのか−−。
#崩壊するニッポン #富裕層優先社会
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