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 カタログ等では分からない、カメラ、レンズの違い


 デジタル時代になりカタログだけではよく分からないものが増えた。
その一つにデジタル一眼レフカメラ(以下デジタル一眼)がある。
メーカーのカタログを見ると誰でも簡単に、きれいな写真が撮れそうだが、実際にはそうはいかない。
 つい先日も山鹿市で蓮の写真を撮っている時、若い女性から「露出を暗くするにはどうすればいんですか」と尋ねられた。
デジタル一眼を使い始めたばかりのようで、操作がよく分からないらしい。
「露出を暗くする」という意味がよく分からなかったが、恐らく露出を変えて撮りたいのだと思い、絞り値のことを教えてあげた。

 ところで、以前から疑問だったものが2つある。
 1つはデジタル一眼は皆同じなのか、それともメーカーによって違いがあるのかということ。
 もう1つはレンズは純正レンズと非純正レンズに違いはあるのか、ないのかだ。

 前者は初めてデジタル一眼を買う時に参考になり、後者は交換レンズを買う時に参考になるはずだ。
 ところが、カメラ雑誌などを読んでも、それぞれにいいことしか書いてない。
カメラ雑誌もメーカーの広告出稿で成り立っているから、どのメーカーの製品も同じように扱っておかなければならないから、ある意味仕方ないことではあるが。

 さて、本題のメーカーによる違いの有無である。
実は私が最初に買ったデジタル一眼はニコンD50で、数年後にキャノンEOS KissX2を買った。
その結果、はじめて分かったことがある。
色の出方がニコンとキャノンでは大いに違ったのだ。

 ニコンが鮮やかで、キャノンはナチュラルだった。
もちろん同一メーカーでも機種によって色の出方は多少違うようだが、メーカーによる違いの特性はある。
そのことはカメラ販売店やメーカーの人間に何度か確かめた結果、やはりメーカーによる違いがあるということが分かった。
ただし、これは製品の良し悪しの問題ではないので勘違いなきように。
 例えば桜や紅葉のように色を強調したい時はニコンで撮影した方がきれいに見えるが、一般的にはナチュラルな色合いのキャノンの方が見た目に近く、違和感がない。
 要は撮影シーンでどちらがベストかという違いぐらいで、あとは個人の色の好みの問題だろう。

 ところが交換レンズを買い増す時はそう簡単ではない。
交換レンズは結構高いからだ。
価格でいえばメーカーの純正レンズより非純正レンズの方が安い。
全く性能が同じなら価格が安い非純正レンズの方がいいことになる。
 レンズの場合、価格の違いはレンズの明るさを示すf値による。
ところが最近は、純正も非純正もf値は同じだし、販売店で尋ねても「違いはない」という返事だった。
それならば、非純正レンズの方がお買い得ということになる。

 実は最近、私自身がそのことを経験したのだ。
ニコンの交換レンズを買おうと思い、販売店で色々見比べていた。
ズーム域や価格面からS社のズームレンズを買うことにほぼ決めた。
すると販売員が「同じタイプならT社製がいまお安くなっています」と勧めてくれた。
価格は期間限定ながら半額表示。S社製と比べても約半額。
この差は大きいので、T社製を買うことにした。
「ちょっと付けてみますか?」
販売員の親切な言葉に頷き、ニコンに装着。
シャッターを切って「ん?」。
被写体にピントが合う合焦速度がちょっと遅いのだ。
そこで今度はS社のズームレンズを装着して試してみる。
こちらの方が明らかに速い。
それでも現在持ているニコンレンズよりは少し遅い気がした。
次に当初予定に入っていなかったニコンの純正ズームレンズを装着して試した。

 結果分かったことは、純正と非純正ズームレンズで合焦速度に違いがあるということ。
もちろん互換メーカーもやがてその辺りにも対応したレンズを出してくるだろうが、この辺りのことはカタログの数値からは全く分からない。
で、私はといえば、当初の予定になかった純正レンズを買ってしまった。

 それにしても最近は専門店といえども若い社員ばかりで、知識不足、あっても机上の知識ばかりで、経験不足だからカタログに書いてある以上のことは答えられない。
 買う方も素人なら売る方も素人。
メーカーもファーストユーザー(初心者)ばかり相手にした機種を次から次に出すものだから、販売する側にプロは必要ないと思っているのかどうか分からないが、プロの販売員などどこを見回してもいない。
これではモノが売れないのも当たり前のような気がする。



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