高齢化社会は様々な問題を生み出しているが、それと同時にそこには問題解決のニーズもある。こうしたニーズに応えるべく開発されたもののひとつが今回紹介する「カイダンサット(特許第4348416号)」。発明・開発したのはジュンコンサルタント(福岡市早良区百道浜4-2-1-1006)の山永順一代表だ。
山永氏は本田技研工業(株)、ホンダエンジニアリング(株)の元技術者で、その経験を生かして、主に自動車生産設備に関する機械技術コンサルティングをするかたわら、日常生活に必要なアイデア商品を開発・製造・販売している。
「カイダンサット」は自身の介護体験から生まれたもので、いざという時、単独歩行が困難な老母を一人で楽に運べる簡易担架があればという思いから作られた。
商品名の「カイダンサット」は階段をさっと運べる簡易担架、簡易搬送装置というところから名付けた。
最大の特徴は担架に人を載せたまま、階段を楽に、しかも素早く降ろせること。
これは簡単なようで、実は難しい。
まず、階段には段差がある。段差があるところを一段ずつ移動させようとすればガタン、ガタンと上下に揺れ、スムーズに移動させられない。
坂道は上りより下りが危険なように、階段も下りの方が危険極まりない。運んでいる人がうっかり手を離したりすれば、担架がそのまま滑り落ちてしまう。
また階段には必ず踊り場がある。担架を回転させられるほどのスペースがあればいいが、ほとんどの踊り場にはそれほどのスペースがない。踊り場に差し掛かるたびに担架を立てるか、乗っている人を降ろすしかなくなる。それでは緊急の搬送時には役に立たない。
では「カイダンサット」はどのようにしてこれらの課題を解決したのか。また、階段の途中で手を離しても滑り落ちないのはなぜか。
以下に特徴をまとめておこう。
1.担架の底部をソリ機構にし、滑り材(樹脂製)と摩擦材(ゴム板)を配置。
このことにより、下りる速度を自由に調整できるばかりか、階段途中で手を離しても摩擦材がブレーキの役割をし、滑り落ちない。
2.小回りができる。
前方に小さな車輪を2つ付けているので小回りができ、階段の踊り場や狭い通路も楽に搬送できる。
3.座席が低いので寝ている人の側に置いて、楽に乗せることができる。
4.座席を枠で囲んでいるし、座席が低いので乗っている要救護者が不安を感じることなく安心感がある。
5.シンプルなソリ機構だから重量が軽く、楽に運べる。
6.折り畳めばコンパクトになり、広い設置スペースを必要としない。
人を乗せたまま階段を運ぶ搬送車はいくつかあるが、いずれも重量が重かったり、操作に慣れが必要だったり、価格が高かったりするので、個人で購入するのはもちろんのこと、老人ホームや介護施設などでもなかなか導入に踏み切れないのが現状。その点、「カイダンサット」はコストパフォーマンスが高いため、今後、各方面で導入を期待できる。
「高齢化社会・福祉社会にニーズが高い商品だと考えています。できれば私どもより組織力、販売力がある会社に協力してもらいたいと思っています。希望があれば特許実施権を譲ることも考えています」(ジュンコンサルタント・山永順一代表)
「カイダンサット」を使っているシーンはユーチューブで見ることができる。
ジュンコンサルタント
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