同社の主力商品は「テクニカルゲート」と「タイムパーク」。「テクニカルゲート」は運転手がリモコン操作で駐車場ゲートのチェーンを上げ下げして車を出入りさせるシステム。「タイムパーク」車が駐車するとロック板が上がり、発車する際には駐車した時間分の料金を機械に投入してロックを外すコイン式駐車場。このほかに、専用駐車場、時間貸し駐車場などあらゆる条件の駐車場に対応した複合型駐車場管理システム「オートパーク」、遠隔監視・制御システム「サクセスアイセンター」などがある。
作れば売れる時代ではない。
営業力をつけたメーカーでないと
もう生き残れない。
--犬のマークのコイン式駐車場が大ヒットですね。バブル崩壊が急成長の追い風 になったようですね。
本房 まさにそうですね。一時管理機械というのは10年前から作っていたんですが、市場が要求してきだしたのはこの4、5年で、急激に伸びてきましたね。やはり土地の有効活用という部分で伸びてきたんじゃないでしょうか。
4年前が200数台(機械1セットのこと)、3年前400数台、2年前が790台、今(1997年春)1,500台と急激に伸びています。九州ではダントツ1位です。福岡市内だけで直営が156カ所あります。
車は止めればいい、機械は動けばいいという時代はすでに終わっています。私どもの駐車場はブルーで一色になってたり、駐車場内をカメラで監視し、警告を発したり、画像を見ながらメンテナンスまでできる遠隔監視システムもあります。プリペイドカードも使えますし、領収書の発行、釣り銭も出ます。今までは非常にシンプルな機械だったんですが、時代のニーズに応じてビジネス利用が多い場所では領収書の発行も必要ですし、機能もそれなりに上がっていき、設置場所に応じたアイテムを付けていくようにしています。アイテム数に関しては日本一です。
--コインパーキングで領収書が発行されるのはうれしいですね。
本房 それぞれの機械ごとに領収書が出るコインパーキングを作ったのは、うちが初めてです。最初はリモコンで駐車場入り口のチェーンが上がり下がりする「テクニカルゲート」というのを作ったんです。それをやってるうちに時間貸しの全自動型駐車場管理システムが作れないかと考えて開発したのが「オートパーク」です。当時は非常に高価なものだったんですね、「いらっしゃいませ。カードをお取りください」という全自動の機械が。それを私が半額以下で作ってしまったんです。やはり非常に短いスパンで変わっていく変化に対応していくだけの開発力と、商品を送り出す営業力を持たないと、メーカーといえども作れば売れる時代ではないからですね。営業力をつけたメーカーでないと生き残れないと思います。ですから営業には非常に力を入れていますが、それと同時に、向かい風に向かっていかない、時代に乗ることだと思っています。
お客様の成り立つ仕組みを
作ってから商品を開発する。
それが当社の考え方です。
本房 例えばテレホンカードの自動販売機も手がけましたが、やがて大手が一斉に 参入してきたからさっと手を引き、次はカラオケのプリペイドカードシステムの開発 を手がけたわけです。ちょうどカラオケブームでカラオケ業界が乗っている頃で、当 社の開発したカードシステムが大ヒットしました。ハードを非常に安く出し、リピー トが来るカードの販売で儲かるようにしたからです。
お客様の成り立つ仕組みを作ってから商品を開発するというのが当社の考え方で す。設備を導入することでさらに新たな出費をお客様にさせるようなものは作らない んです。これを導入したから儲かった、今まで以上に売り上げが上がったというもの を作るわけですよ。ですからお客様に喜んでもらえ、喜んでもらえるからリピートが 来るんです。お客様が成り立つ環境作りが大変なんです。
そのうちカラオケカードにも大手が参入してきましたよね。けれどもカラオケハウ スというのはいろんなメーカーの機械が入っているわけで、カード一枚では兼用でき ないんです。大手メーカーのものはそれぞれ自社製品でしか使えないから。そこで当 社は全機種対応できるものを作った。するとメーカーの中には自社のも作ってくれと 言うところが出てきた。次は、その技術をうまく生かして、カラオケが下火になる頃 に病院のテレビリーダーに切り替えていったわけです。
--テレビリーダーというのは?
本房 100円玉の代わりにカードを入れてテレビを見るようにしたんです。すると NECが追っかけてきたからやめて、今度は駐車場にプリペイドカードを付けたわけ です。
あれもこれも一から開発しようとするとたしかに間口は広くなりますが奥行きがな いじゃないですか。ですから、そういう意味では当社は、磁気カード端末に関するも のはカードレジスターからカードリーダー、カード販売機まですべて開発してきまし た。
最近、同社のサクセスアイセンターと無人駐車場を通信回線で結び24時間管理す る遠隔監視・制御システムが注目されている。デジタル回線で接続するタイプとアナ ログ回線の2タイプあるが、平成9年に日立製作所と共同で、一般のアナログ公衆回 線を使用して画像と音声を同時に送ることができるシステムを開発した。ISDNな どのデジタル回線の場合、利用できる場所が限られているし、通信コストも高い。そ の点、アナログ回線なら通常の電話使用料と同じで通信コストも安く、設置工事や追 加費用もなく、ユーザーが導入しやすいなどメリットが大きい。送受信できるデータ は1秒間に最大1二コマのカラー動画、静止画の場合は704×480ドットの高精細画 像。ロック板の上げ下げなどの遠隔操作や、時間帯による駐車料金の変更、駐車箇所 ごとの売上高の自動集計も可能。
やれマルチメディアだとか
デジタルがどうだと言うが
まだアナログの世界ですよ。
--マルチメディア関連では遠隔監視システムを開発されていますね。
本房 アナログ回線を利用して音声だけでなく画像も送れます。いままで画像と音 声を同時に送ることはできなかったんですよ。それを日立製作所と共同で開発したん です。
静止画像ですが6秒に1コマ変わります。画像はメモリーに残しておき、その間に 音声を送るというように画像と音声を交互に送っているわけです。このシステムで駐 車場と結んでおけば、こちらから駐車場の様子が見れるわけで、無断駐車の車を発見 すれば「そこは駐車禁止ですよ」とこちらから音声で警告を発することができるわけ ですよ。100円玉が何個、500円玉が何個ということまでこちらで把握できますし、あ る車が何月何日の何時から何時間駐車して料金はいくらということもすべてリアルタ イムで分かります。カメラの角度調整も遠隔操作で自在にできます。映像はVTRを 組み合わせて常時記録することもできますし、カラープリンターで静止画を印刷する こともできます。
いくらマルチメディアが進んだとか、デジタルがどうこう言いますけど、まだまだ アナログの世界なんですよ。これだけのことがアナログ回線を利用してできるんです から。じゃあ皆がこんなシステムを欲しいかというと、まだその時代じゃないと思い ます。だけど技術はいまここで構築しとかないと、流行し出してから作ってるよう じゃ遅いわけですよ。次の手次の手を持っとかないとね。
現在13アイテムあります。1等地じゃなくて2等地、3等地でも成り立つ機械も開 発しています。1つの機械で6台の板を管理するシステムで、これなら投資コストは すごく安くなるわけです。東京の1等地なら1時間600円、900円取れても、九州の地 方都市では1時間100円しか取れないかもしれない。それでも成り立つ仕組みを考え てやらなきゃいかん。そういう意味ではアイテムをたくさん持って、次の商戦のこと を考え、戦略戦術をしっかり練りシミュレーションをしておかないと、次の商戦が分 かってから準備したんでは遅いわけですよ。
--株式の公開予定は?
本房 2001年に店頭公開を考えています。
<プロフィール> 昭和26年11月鹿児島県肝属郡串良町生まれ。同45年鹿児島電子工業 高校卒業後、トヨタ鉄工株式会社に入社し、株式会社トヨタ自動車に出向。同57年福 岡市南区で日本パーク販売を創立。同63年9月、日本パーク販売株式会社に法人化。 平成2年4月テクニカル電子株式会社に社名変更。同6年5月、現在地に本社機構を 移転。魚釣りが趣味。 |
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