環境問題が製造業を追い詰める
製造業が直面している課題はもう1つある。環境問題だ。実はこちらの方が大きいと言える。
今後5年以内に製造業は環境問題で厳しい批判にさらされるだろう。そのトップにいるのが自動車産業だ。
いまのところ彼らはアウトレット(出口)で批判されているが、CO2(二酸化炭素)の排出という意味ではエンジン稼働時の排ガスより生産段階での排出の方がはるかに大きな問題だ。
ところが、これに関してはどこも問題にしていない。あくまで出口の問題に留めることで、燃料をガソリンやディーゼルから電気に変えて乗り切ろうと目論んでいる。原子力発電が建設コストや廃炉コストのことに触れず、稼働時のコスト計算でコスト安を謳ったのとよく似ている。
本当の問題は造り過ぎ、過剰生産であることは分かっているはずだが、自動車産業だけではなく産業界全体が、そのことに触れないようにしている。
しかし、若い世代、グレタ・トゥーンベリさんなど10代の若者達はそのことに気付き声を挙げ始めている。そして、この声は5年後、10年後にはもっと大きくなり、自動車メーカーに押し寄せられるだろう。環境問題はこの星に生息するすべての生物の未来がかかっているから。
自動車メーカーは様々な問題を抱えたメーカーである。まずメーカーの数が多すぎる。日本国内だけでもトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、スバル、スズキ、ダイハツとあり、それぞれに普通車、軽自動車を数シリーズずつ造っているのだから製造車数が多くなるのは当たり前だ。そのことは彼ら自身も分かっており、メーカーの数については以前から取り沙汰されてきた。3分の2が妥当だと。
実際、メーカーの数が減少しそうになった時はあった。直近では日産自動車、三菱自動車、もう少し遡ればマツダもそうだろう。
しかし、その度にどこかしらから点滴を打たれ延命措置が施されてきたが、三菱自動車(には申し訳ないが)を延命させる必要があったとはとても思えない。同じことは日産自動車に対しても言えるし、ホンダで売れているのは軽自動車で普通車はあまり奮わない。
そういうことを考えればどこもが全ラインアップをする必要はないだろう。かつてがそうだったように、軽自動車専門メーカー、普通車専門メーカーという括りで再編するという手もある。
どういう形になるかは別にして、自動車メーカーの再編成は近いうちに必ず起きるだろう。といっても、自動車をなくせと言っているわけではない。
地域によっては自動車が生活の必要条件になっているところもある。だが、国内でさえ、このような状況だから世界規模で見ると明らかに造り過ぎ、生産過剰である。どこかで規制をかける必要がある。
そのためには魚の捕獲量規制のような、各国の事情に応じて生産量を割り当てするような規制も必要だろう。また地域による総量規制のようなものも導入する必要があるかもしれない。
例えば大都市は自動車の走行を禁止し、代わりに公共交通機関を充実させるなどの対策を取り、それを準大都市へも順次広げていくようにすれば交通渋滞もなくなり、CO2の排出も減る。
(4)に続く
#世界の製造業が半減
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