商店街の要望に応えて開発
−−まず、開発のきっかけからお聞きしたい。
平田 実は2004年から早稲田大学環境総合研究センターが北九州市の環境行動促進ポイントシステムの企画運営に参加したのがスタートです。簡単に言うとエコポイントの管理システムです。以前から早稲田大学と共同でシステム開発をしていたので、北九州市の件でもレセプターがシステムを開発するようになったわけです。
−−それがどういう流れでポイントカードの開発に繋がっていったわけですか。
平田 最初はエコでポイントが貯まるというだけのシステムだったのですが、そのうち北九州市東田地区の祭りでポイントラリーを実施するなど広がりが出てきました。
−−ポイントラリーというのは?
平田 拠点箇所を何箇所か回ってスタンプを押してもらうスタンプラリーがいろんなイベントで実施されていますが、あれは紙の台紙にスタンプを押していくわけですから、最低でも参加人数分の台紙を事前に用意しなければいけないし、後の集計も大変なんです。
それをすべてIT化したので事前に紙を用意する必要がない。紙がないのでゴミが減ります。ポイントの途中変更も、集計も楽、ラリーはどこからスタートしてもいいなど、スタッフの負担が大幅に軽減されました。
IT化したことで携帯電話やスマートフォンで自分のポイントを簡単に確認できますし、主催者側は参加者にイベント中の情報を140文字までですが配信できます。
−−なるほど、すでにポイントシステムは実用化していた、と。それを買い物に使うポイントカードにも応用したということのようですが、何がきっかけだったのですか。
平田 エコポイントは商店街でも導入していましたし、スタンプラリーの時などに商店街の人達も参加されていたりするので自然に顔なじみになり、「商店街に人を呼び戻すにはイベントもいいけど、やっぱり買い物に寄ってもらうようにしたい」というような話がありました。
それならエコポイントの商店街版のようなポイントカードを作ったらと提案したんですが、話を進めていくと要望も色々出てきて。
消費者が常時持ち歩くポイントカードを
−−例えば、どんな要望がありましたか。
平田 まず商店街で共同で使えるカードがいいという意見ですね。しかし、小さな店も多いからカードの発行コストが大きいと難しいという本音もありました。
共同カードの場合、他店で貯めたポイントを自分の店で使われるだけではメリットがあまりない。自分の店のポイントは自分の店だけで使えるといいんだけど、そういうのは無理だろうかとか。
−−ポイントは各店それぞれのものなのに、カードは共通で1枚で済むわけですか。
平田 そこが最大のウリです。開発に当たり消費者の意見も聞いたのですが、最も多かったのが「これ以上、ポイントカードを作っても使えない」という声でした。
ポイントカードは少ない人でも20枚前後、多い人になると100枚ぐらい持っています。ところが、普段よく使うカードは10枚程度なんです。これって財布に入れて持ち歩いているカードの枚数なんです。
−−しかし、商店街やグループで使える共同カードとはいえ、新たに1枚発行することには変わりはないでしょ。
平田 いや、新しくカードを発行しません。商店街に100店あり、それらすべての店のカードを作る場合、普通なら100枚のカードを発行しなければなりませんね。発行に要する手間暇もありますが、消費者からすればさらに100枚のカードを持ち歩くことは絶対しないでしょう。それではポイントカードの効果はないのと同じです。
今回、開発したポイントカード「ココカ」は加盟店が100店あってもカードの新規発行はしなくていいんです。ゼロです。
−−えっ、にわかには信じられない話ですが、もう少し具体的に教えて下さい。
平田 IT技術でそれを可能にしたということです。分かりやすく言えば、お客様がすでにお持ちのICカードを利用します。だからお客様は新規にカードを発行しなくても済みます。
ICカードならなんでもOKです。例えば福岡県では「nimoca(ニモカ)」、首都圏では「Suica(スイカ)」といった交通系のICカードがよく知られていますが、このカードをそのまま「ココカ」のポイントカードとして使えるようになります。そのほかにもイオングループの「ワオンカード」や「楽天カード」などの流通系ICカードもOKです。
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商店街や小店舗の大きな武器に
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