栗野的視点(No.690) 2020年6月12日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「コロナ」が変えた社会(U)〜減少する売り上げ、増加する犯罪
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ある朝、目覚めたら目に映る景色がすっかり変わっていたーー。そんな話は映画か小説の中の出来事だと思っていたが、そうではなかった。今、目の前で現実に展開されている。COVID-19の「感染力」はそれほど凄まじいと言える。と言ってもウイルスそのものの感染力ではなく「社会的感染力」のことだが。
この「感染力」を増幅させているのがマスメディアと、人々の怯えからくる「自粛」「同調圧力」なのは何度も指摘している通りだ。
人々は少しずつ冷静さを取り戻しつつあるが、一度動き出したベクトルが停止するにはもう少し時間がかかるだろう。この冬を乗り越える頃まで待たなければならないかもしれない。
問題は体力、経済がそこまで持つかどうかだが、瀕死状態に陥っているところがある一方で、焼け太り(?)に似た恩恵を受けているところもあるようだ。もちろん瀕死状態に近い方が圧倒的に多いのは言うまでもないが。
車を買うなら6月が狙い目
外出自粛要請で大きな影響を受けている業界が外食・飲食系や旅行関係に自動車業界だろう。自動車関連は新車販売を筆頭にガソリン、修理工場、カー用品店などは軒並み閑古鳥が鳴いている。そこにもってきて高齢者の「免許返納」も増えているようで新車販売は激減。
もともと国内の自動車メーカーは過剰で、3社ぐらいが妥当とは以前から言われていたが、いよいよそれが現実味を帯びてきた。日産は、三菱は、マツダはという話はまあ別にして、この状況下で売れている車があるという話を耳にした。俄かには信じられなかったが、話を聞けばなる程と納得した。
売れているのはトヨタでもホンダでもなく、言うならメーカーにはあまり関係ないようだ。ただ、話を聞いたのはトヨタ系のディーラーからだったが、中古車が売れていると言う。
背景にあるのはCOVID-19。ウイルス感染を恐れて車を共同利用するカーシェアリングをやめているらしい。カーシェアリングをやめて中古車買いに走っていると言うのだ。
もともとカーシェアリングを利用した理由が経費面からであり、カーシェアリングをやめてバスや電車の利用に切り替えるとは思えない。COVID-19が落ち着いていれば、そういう方向に動く人もいるかもしれないが、今の状況では考えられない。
かといって新車購入は出費が嵩む。仕事も感染症の影響で、先行きが見通せないし、できるだけ出費は抑えたいと考えた人達が中古車市場に流れていると言う。
ディーラーにとっては新車販売ほど利益が出ないということはあるが、新車が売れない時だけに歓迎し、中古車販売に力を入れているところも出てきている。
そういえばマツダのディーラー営業所の店頭に急に中古車が展示されていた。たまたまかも分からないが、いままでその営業車が中古車を展示しているのを見たことはなかった。
さて新車販売の方は激減で、どこのディーラーショールームでも社員が手持ち無沙汰に「ボーと」立っている。
COVID-19がまだ収束していない時にショールームに顔を出すのは危険と敬遠する人が大半だろうが、車を買うなら逆に今が狙い目のようだ。
来店客がほぼいないから試乗車が空いているし、営業もしっかり対応してくれる。実のところ私はその日、トヨタのディーラーでヤリスとライズを続けて試乗できたが、以前ならそんなことは不可能だろう。
そして車の購入価格だが、かなりの値引き幅が期待できそうだ。この話は当の営業から聞いた内容だが「5月は全くダメで、6月は少しお客様が来られるようになった」が、対前年比で言うともう比べものにならない落ち込み。今は利益云々もあるが「正直なところ売り上げが欲しい」。会社もそれを望んでいるから「上と交渉してサービスすることができる」と言う。サービス内容はオプション品の値引きという形になるようだが、そこで20万円程度の値引きは大きいだろう。
ところで、6月が買い得なのは新車に限ることではないようだ。中古車が売れていると言ったが、それは一部の話で、実のところはCOVID-19の影響で輸出ができず行き場を失った中古車が国内市場でダブついているらしい。そうなれば当然、価格は下落する。
そういえばボルボ・カーのディーラーから「決算車両大放出」という案内が来たが、クリスマス、初売りセール時より安い価格が表示されていた。走行距離3,000〜5,000kmの試乗車使用と思われる2018年6月〜9月登録車(V40)が250万円〜290万円。同程度の車が年末・年始商戦では30万円程度高い価格が付いていたから中古車の価格も今は下がっているということだろう。
(2)に続く
|