「コロナ」が変えた社会(Y)〜浮き彫りにした人間の本性・身勝手さ(2)
〜中川医師会長の身勝手な言い訳


医師会長の身勝手な言い訳

 実はこの原稿は5月上旬にほぼ書き終えていたが、途中からテーマの方向性を変えたので、しばらくそのままにしていた。その間に人間の身勝手さを報じるニュースが次々に飛び込んできた。

 まず驚いたのは中川俊男・日本医師会会長が4月20日、自見英子(はなこ)議員の政治資金パーティーに参加していたことだ。
 自見議員は日本医師会の組織内候補として当選した参議院議員だから、中川会長が政治資金パーティーに参加することはあり得るだろう。だが1参加者としてでもオンライン参加でもなく、主催者だったのだ。
 しかも日本医師会の幹部連中14人も一緒に、その場にいたという。その中には「コロナ騒動」以後、TVにコメンテーターとして露出している「顔なじみ」もいたから驚きだ。

 さらに問題発覚後の記者会見で「時期が悪かった」という中川会長本人の弁を聞いた時は激しい怒りさえ覚えた。
 彼が日本医師会の会長でなければ、彼らが専門家然としてメディアに出て「新型コロナ」の感染拡大の危機と感染防止対策を連日のように訴えていなければ、「ああ、時期をズラせばよかったのにね」で多少は済まされたかもしれない。

 しかし、パーティー参加者数が100人と聞けば少し話が違ってくる。彼ら「専門家」は10人の会合でさえ問題視してきたし、屋外の野球観戦やイベントも無観客での実施や厳しく人数制限をされた。
 その時期に、本来「専門家」として範を垂れなければならない連中がホテルで100人も集まってパーティーをしていたというのだから「時期が悪かった」で済まされる話ではない。

 因みにパーティー翌日(4月21日)の定例会見で、中川俊男会長は「自粛を基本とする対策は限界で、強力な覚悟がいる厳しいものにならざるをえない」「大型商業施設やイベントを休業する、やめるという厳しい制限で人と人が接触しないことが必要」だと警告を発している。一体どの口が言わせているんだろう。

 今度は5月12日の会見。「主催者として緩みのような感覚はなかったのか」と記者に質問され「緩みということは、まったくございません」だって。
 本当に呆れてモノが言えないが、その後も驚くような発言が次々に飛び出ている。

 「最大限に感染防止対策をホテルの側も自信を持って言っているし、我々もしっかり事前確認をしてやるということを最終的に決断した」

 「距離を空けて、間隔をとって着席する形式です。お互いに会話もほとんど無言のまま。登壇して発言者以外は、ほとんど無言のまま。水も出ず。水は持ち帰り用の袋にペットボトルが1本寝ていた、というくらいしかない。静かな会で終わりました」

 「最大限に感染防止対策をホテルの側も自信を持って言っているし、我々もしっかり事前確認をしてやるということを最終的に決断した」

 「ホテル側の業界ガイドラインに沿って、しっかり感染防止対策をした」

 最近この手の釈明が多いが、恐らく先の首相の弁明の仕方に倣ったのだろう。言わんとすることは多少「時期が悪かった」かもしれないが、「最大限の感染防止対策を」ホテル側もしていると「自信を持って言っている」から、それを信じてパーティーを開催した。それのどこが問題なのかと開き直っているわけだ。

 これを聞いた国民はどう感じるだろう。納得するだろうか。
それとも「施設側が感染防止対策をしっかりしていれば多人数で集まっても問題ない」「100人でも許されるのだから10人、20人は全く問題ない」「新型コロナは本当は怖くないのだろう」と受け取りはしないか。
 それでなくとも「コロナ陰謀論」を信じる人達が日本でも一定数いるというのに。間違ったメッセージを国民に与え、陰謀論者を勢いづかせることになりはしないか。
                                           (3)に続く



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