これでスマホ利用料は下がるのか(1)
〜有識者会議提言の疑問


 「携帯電話の料金」が高いから下げろと言う。「携帯電話」とは言っているが槍玉に挙がっているのはスマートフォン(以下スマホ)の利用料金のことだ。これがエンゲル係数ならぬスマホ係数(?)が高くなっているので是正しなければならない。だから料金を下げろと。
 何につけ下がるのはいいことだ。下がってよくないのは収入と家族の絆ぐらいだから、下げろと言うのは大歓迎。だが、ちょっと気に食わない。何が気に食わないかといって、官邸のお達しで下げろと命令されるのが気に食わない。と言っても、下げろと言われている相手はドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話キャリアだから、こちらが憤る筋合いではないが、上から命令するのが気に食わない。

 たかがスマホの利用料程度のことに国がとやかく言わなければならないのか。
そんな小っちゃなことで有識者会議を開いて云々する前に、もっと他にすることがあるだろう。それとも来年の参議院選に向けて庶民受けを狙ってのことなのかとつい勘ぐってしまう。
 ついでに言えば、こんなことに引っ張り出される「有識者」とやらも大迷惑だろう。だからか「提言」もいい加減なもので、本当にそれで「携帯電話の料金」が下がるのかと訝ってしまう。
 だが、それはこちらの勝手な思い込み、勘違いで、会議の名目は「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」ということらしい。早い話が料金値下げではなく「料金その他の提供条件」なのだ。まあ、携帯電話の利用料金に困っていない連中が議論することだから、「キャリアは儲け過ぎだ」「通信料をもっと安くするべきだ」などと言うはずはなく、せいぜい今より「安いプランを作れ」程度のことしか言えないのだろう。

 これではいくら総務大臣が「速やかに対応する」とキャリアへ強く迫っても、キャリアの方はその程度のことなら即対応するに違いない。そう思っていたら、18日、ソフトバンクは通信量が少ない利用者向けに、月額5,000円以下のスマホ向けプランを開始する方針を固めたと発表した。彼らにしてみれば、もっと強く通信料の値下げを迫られるものと多少覚悟していたのがちょっと拍子抜けというか、その程度のことならと胸をなで下ろしたことだろう。

 さて、鳴り物入りで始まった(なんといっても総理大臣の鶴の一声で始まったのだから)スマホ利用料の見直しだが、来年度から思惑通りに料金は下がるのか。
 結論から言えば下がらないだろう。ただ安いプランが出る(だろう)から通信料が少なめの利用者(私もその一人だが)は助かりそうだが。

 では、スマホの利用料を下げるためにはどうすればいいのか。

1.競争原理が働いてない

 一番の問題は競争原理が働いてないことだ。日本企業は昔から横並びが好き。
出る杭は打たれると思っているのか(そんなことは考えてないと思うが)、他社と違うことはしたくない傾向がある。裏を返せば、AdventureもVentureも避け、無難なところで他社並みの利益確保をしたいだけだ。そしてできることなら先頭ではなく2番手で行きたい。ライバルの出方を見ながら、それに追随していくのが楽だからだ。
 皆がこういう考えだから当然のごとく競争原理など働くはずがない。競争原理が働かないところに価格破壊は起こらない。かくしてスマホの利用料も似たり寄ったり、目糞鼻糞の違いでしかない。
 では、どうすれば競争原理が働くのかについては後述するとし、新規顧客への過剰割引について見てみよう。

                                               (2)に続く


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